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2012 · 11 · 26 (Mon) 16:13

●『ふたたび、恋が訪れて』カーラ・ケリー

●『ふたたび、恋が訪れて』カーラ・ケリー(ラベンダーブックス)
 19世紀、英国ヨークシャー。ロクサーナは半年前に牧師の夫を亡くし、娘二人と悲しみに暮れていた。亡夫の兄ホイットコム卿からは、自分の屋敷に住まわせるかわりに愛人になれと言われている。そんなことはできない……何とか自立しなければ。そんな時に見つけたボロボロの家屋は、ウィン侯爵フレッチャー・ランドの領地にあった。ロクサーナと娘たちは急いでその家へ移り住む。("Mrs. Drew Plays Her Hands" by Carla Kelly, 1994)

『青い城』もとてもよかった原ちえこさんがコミック(ハーモニィRomance1月号)にするというので、積ん読の中から引っ張りだして、急いで読みました。(コミックも。枚数が少ないところが残念だったけど、面白かったです。子供たちがかわいい)
 堪能しました……。RITA賞は首を傾げるものもあるけど、この作品には納得。何度涙したことか。
 最初の方は、長い闘病の末、ヒロインと娘たちが心から愛していた夫・父を亡くしたことへの悲しみに。ヒーローに出会ってからは、特に娘たちが次第に笑顔を取り戻していく過程に。
 ヒーローは無骨で優しい人なんだけれども、前の妻に裏切られ、離婚したことにより変わり者として社交界から爪弾きになっている。戦争で命を賭けて戦い、いくら功績をあげても誰も見向きもしないそんな世界に生きる意味を見出せず、

「人生は38歳で終わってしまった」

 と思っている。
 変わり者だけど(だからか?)、彼には変なプライドがなく、ヒロインにひと目惚れしてからは何くれと世話をし、夫を亡くした悲しみから立ち直りかけている彼女との友情を育み、娘たちを笑わせてあげる。何の見返りも求めずに。
 そこら辺も泣けます(;ω;)。
 そして、愛人にしようと目論む亡夫兄の策略により、二人は駆け落ちで結婚するしかなくなる。自分のためではなく、ヒロインとその娘たちのために、ヒーローがんばる。超がんばる!
 この作品の唯一の欠点というか長所でもあるんだけど、全体的に地味というか、派手さは一切ない。でもそのおかげで、彼のがんばった結果にかなりショックを受けてしまった。多分、ヒロインと同じくらい。
 でも、彼と彼女も、相手の気持ちはわからないんだよね。というより、ヒロインが自身の気持ちがわからない。ヒーローのこと、「なんて親切な」とか天然って怖い……orz
 そして、そのあとのまた地味でじれったいすれ違いが切ない。ヒーローに気持ちを問われて、日々の生活をこなしながらヒロインが自分に問う。

「なにがわたしの望みなの?」

 人は、様々な事情で人を愛することを恐れるけれど、恐れても愛する時は愛してしまう。ロマンスってそれに激しく無駄な抵抗することで葛藤を生む話が多いけど、現実はけっこう受け入れてしまうものじゃないかな。そうしないと、生きていくのが大変だからね。
 そうやって心の揺れを最低限にしていても、それは次第に積み重なっていく──まさにそれが丁寧にじっくりと描かれていて、素晴らしい、と思いました。
 ヒロインの亡き夫が、幸せになった新しい家族を祝福しているであろうラストにも、泣けます。
(★★★★☆)

最終更新日 : -0001-11-30

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