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◆『愛の残照』エマ・ダーシー

◆『愛の残照』エマ・ダーシー(ハーレクイン文庫)
 フィジーからシドニーへ帰ったばかりのキャリーに、突然の病が襲う。頼れる知り合いもいない状態では子供の養育はできないと、福祉事務所が息子を連れていってしまった。何とかして息子を取り戻したいキャリーは、決して頼るまいと誓った元恋人ドミニクに会いに行く。8年前、私は彼を心から愛したが、ドミニクはそうではなかった──。("High Risk" by Emma Darcy, 1992)



 この記事でリクエストいただいた作品です。(tonさま、ありがとうございます!)
 特筆すべきは何と言っても、

「子供を黙って産んで育てたことを怒らなかった」

 というところ。
 いや、ダメってわけじゃなく、怒るにしても一番最初じゃないよな、ということ。
 この作品のヒーローは、怒りより身体を壊したヒロインへの労りと息子へのフォローに徹する。この段階では自分の息子とは知らされていないけど、薄々はわかっているはず。これが普通だよね。
 それから、別れた理由はありふれたものなんだけど、勘違い女のデタラメを後押しするヒーローのクズな友人たち、という伏兵が効果的だった。
 結局ヒロインは、彼女たちにいじめられてヒーローの元を去ってしまったのです。19歳の無垢な女の子が、いきなり上流階級のDQN坊ちゃん嬢ちゃんに囲まれ、みんなから、

「彼があんたみたいな小娘、相手にするわけないでしょ? 世界が違うのよ( ゚д゚)、ペッ」

 と言われたら、萎縮するに決まってる。ヒーローだって、彼女に会うまではそういう輩だったのだし、自分よりもつきあいの長い友人たちを突っぱねられるほど絆が強いわけもない。
 それでもけっこうギリギリまで粘ったんだよね(´・ω・`)……。それを間際で食い止めるほどの経験値がヒーローにはまだなかったし、妊娠もあとからわかったわけだから、まあ仕方ない別れと言える。
 それらを認めて、お互いに反省し合うのもいいよね。大人だわ〜(´Д`*)。
 一点だけ気になったのは、ヒーローの結婚についての意図的なはぐらかし。お互いの思い込みが原因なんだけど、ちょっと書き方がわかりやすすぎた。フィジーにいたからいわゆるゴシップみたいなのを知らなかったってことなんだよね、多分。だったら、フィジーにいたことを隠しておいた方がよかったのではないかしら……?
 と、補完すると割と気にならなくなる。
 とにかく、シークレットベイビーに怒らないヒーローというのは貴重だよね。
(★★★★)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : コンテンポラリー ハーレクイン(文庫含む) ★★★★

ありがとうございます!

 こんなに早く感想を読めるなんて夢のようです。ありがとうございます!
 優しすぎるヒーローってあまり好みじゃないのに、なんで私このヒーロー好きなんだろうって自分でも不思議だったんです。
> この作品のヒーローは、怒りより身体を壊したヒロインへの労りと息子へのフォローに徹する。
 これでストンと腑に落ちました。そこから来る数々の優しさが私のツボだったんだなぁ~と。
 白さんの感想を読めて本当によかった!
 これからも楽しみにしてます(´∀`)

 tonさま

 コメント&こちらこそリクエストありがとうございました!
 私も優しすぎるヒーローというのは歯ごたえがないというか……嫌いじゃないけどもどかしいというか、そんな気分になることがありますが、この作品のヒーローは大人だったからその優しさも自己満足ではなくて、そこがよかったんじゃないかなあ、と思います。
 ハーレのヒーローが大人に徹しながらも面白いというのは、エマ・ダーシーの技ですよねえ〜(´Д`*)。
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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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