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●『悪魔公爵の子』ジョージェット・ヘイヤー

●『悪魔公爵の子』ジョージェット・ヘイヤー(MIRA文庫)
「悪魔」と呼ばれたエイヴォン公爵の息子ヴィダル侯爵ドミニクは、その素行の悪さからしばらく国外へ行くように父親から言い渡される。そのお供に連れていこうとした娘ソフィアの姉メアリーは、妹の評判を守るために自分がソフィアになりすます。それを知ったドミニクは怒り、そのままメアリーを連れてフランスへ渡ってしまった。("Devil's Cub" by Georgette Heyer, 1932)



 Twitterでリクエストをいただきました。Rさま、ありがとうございますーヽ(´▽`)/
『愛の陰影』カップルの息子のお話です。
 ヒーロー、父親の公爵にそっくり。父はそれが気に食わない。そりゃあ、若い頃のだらしない自分を見させられては落ち着かないでしょう。
 母のレオニーの方は、息子の気性の荒さが自分に似ていることを気にしている。でも、年取ったから落ち着いたとかそういうのはなく、相変わらず子供っぽく、息子に甘いママンです。
 まだ若いというのもあるでしょうが、ヒーローは傲慢でわがままで、いかにもお貴族様な坊ちゃん。権力も金も美貌もあったら、こういうふうになるよな、という典型の男。
『愛の陰影』の時はオースティンやブロンテのような古典名作的な雰囲気があったんですが、この作品ではずいぶんと現在のロマンス小説に近い形で描かれている、と思いました。一つは、二人の気持ちの移り変わりの描き方。特に、ヒーローの心情がよくわかる。いい感じのツンデレだしね(´Д`*)。
 そしてもう一つはヒロインのキャラクター。これは出色というか、今回前書きを書いているのがリンダ・ハワードなんだけど、もういかにもリンダが好きそうな強いヒロインです。いろいろなことが起こっても現実的でへこたれない。過度に人を頼らず、自分の力でできるだけのことをしよう、という冷静さと賢さのある女性です。
 だから、彼女の名誉のために「結婚しよう」と言うヒーローをきっぱり拒否する。愛のない結婚はしたくないということで。それに対してまた怒り狂うヒーロー。お約束の展開は古い作品であっても萌える(´Д`*)。今でもこういうものがどれだけ書かれているか、と考えると、みんな好きなんだなあ、こういうシチュエーション。
 彼女のキャラをとてもよく表しているのは、後半の決闘(乱闘?)シーン。ヒロインを巡ってヒーローともう一人の男が闘う。その男と恋仲だったヒーローのいとこジュリアナだったらきっと、

「♪けんかをやめて〜、二人を止めて〜、私のために争わないで〜」

 と喜んで泣きながら(河合奈保子のように)歌うでしょうが、ヒロインは怒り狂ってこう言い放つ。

「二人とも死んじゃえばいいのよ!ヽ(`д´#)ノ」

 私はこう言うヒロイン、大好き。
 他にも脇役キャラの描き方も面白い。甘やかした妹娘がヒーローを手に入れそこなったとわかった瞬間、掌返しする腹黒いヒロイン母とか、今まで自分のセンスを生かせる主人に出会えなかったことを延々と訴える従者とか、相変わらずやんだなルパートとか(^^;)。
 私としては、ヒロイン母と妹の修羅場の描き方がエグくて面白かった。このゲスな二人と家族であるヒロインを気の毒に思うくらい。母子のその後はわからないんだけど、妹に対する母の容赦無い扱いの変化に溜飲が下がったよ(´∀`;)。
(★★★★)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : ヒストリカル MIRA文庫 ★★★★

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    プロフィール

    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
    ★★★★からがおすすめです。
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