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2013 · 02 · 18 (Mon) 16:05

●『プリンセスと暗殺者』ガーレン・フォリー

●『プリンセスと暗殺者』ガーレン・フォリー(ラベンダーブックス)
 1805年、地中海、アセンシオン王国。国王の側近であるダリウスは、ロシア貴族との結婚を控えた王女セラフィナの誘拐計画を知り、彼女を田舎の別荘にかくまう。三年前、セラフィナは彼に愛の告白をしていた。ダリウスにとって彼女は、命を捨てても守りたい人──だからこそその時も、そして今も、セラフィナを守るために背を向ける……。("Princess" by Gaelen Foley, 1999)
・〈アセンシオン〉シリーズ第2作

 ヒーロー、ひとことで言えば、

「めんどくさい奴」(´Д`;)

 しかも、正統派のヘタレである。
 ヘタレ故に「自分は彼女にふさわしくない」と思うのか、そう思うからヘタレなのか……読んでいるうちにわからなくなってきたよ(´ω`;)。
 基本的にこのお話はめんどくさい男二人によって回されている。ヒーローとヒロイン父である国王。すなわち、シリーズ一作目『美しき海賊のプリンス』のヒーロー。
 ヒロイン父は、気が短く頭に血が昇りやすい。ヒーローによるDVロシア貴族の身辺調査が終わらないうちに娘を婚約させたりしている。えー、こんな人だったっけー?(゚∀。) 
 しかし、実はヒロインも負けず劣らずめんどくさい、と思った。前作を読んでも感じたけど、キャラの造形が面白い。ヒロイン、外見は小悪魔な美人です。ヒーローを振り回して楽しんでいると思いきや、頭が良くてけっこう計算ずくなところもある。腹黒というより、王宮での駆け引きが身に染みた本物のお姫さまって感じでしょうか。
 政治的な背景故に、ヒロインは政略結婚をしなくてはならない。それに対して、ヒーローは延々と悶々としているわけですよ。

「いいもん、どうせ死んじゃうから(´・ω・`)」

 と半分すね気味に諸悪の根源ナポレオンの暗殺を密かに実行しようと考えてる。前作を読んでいると彼のトラウマは無理ないことだとは思うんですが、かなり頑固で、肝心なことを言わない。
 とはいえ、かくまった別荘でイチャイチャはする。でも寸止め。自制心というより、やはりヘタレだから、としか思えない(´д`;)。
 そもそもこいつがヘタレでなければ、三年前にヒロインから告られた時、普通に幸せな結婚ができたはずだし、こんなに揉めなかったはず。というのに、本人は気がついているのか?

「俺なんて、いくら努力しても成果を上げても、生まれが卑しいし、空っぽな人間だから愛する女一人手に入らない(´Д`)アア……」

 と悲劇のヒーローごっこに気を取られて、全然わかってないよね(^^;)。誰か指摘してやれよ! ていうか、あたしが言いたいよ(゚Д゚)!
 まあ、それ故のアンハッピーエンドフラグが冒頭から立ちまくりで、小説としてはとても楽しく読めました。「どうなるんだろう」と気になると、読むスピードが上がるよね。
 ヘタレ好きな方にはおすすめ。これもまた、のちのち子供から、
「パパのせいじゃん」
 と冷静に指摘されて凹むがいい。
(★★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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