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2013 · 07 · 15 (Mon) 16:26

◆『澄んだブルーに魅せられて』アイリス・ジョハンセン

◆『澄んだブルーに魅せられて』アイリス・ジョハンセン(二見文庫)
 財閥の御曹司で元スケート選手のボウは、カリブ海を気ままにクルーズしていた。ある島国に立ち寄った時に出会ったのは、ケイトという女性。自分の危険も顧みず友人を助けようとする彼女につい協力してしまう。彼女と一夜を過ごす約束をして。("Blue Velvet" by Iris Johansen, 1985)
・〈セディカーン〉シリーズ

 目的をなくした元アスリートの金持ちドラ息子がダラダラと暇つぶしクルーズしていたら、たまたま寄った小さな島国で運命の女性に出会う物語。
 島国を実質支配しているのは麻薬組織で、それに取り込まれそうになる親代わりの男を助けようと無茶するヒロインを助けるヒーロー。
 最初の方は勢いにまかせた展開で、このまま目が滑っていくのかしら(´-ω-`)、と思っていたのだが、ヒロインが面白いキャラというか、とにかくいい子で、最後はけっこう泣けました。その泣けたシーンに出てくるのが『ふるえる砂漠の夜に』のヒーローだというのは、あとがきで知ったよ……。名前なんか忘れちゃうよね(´ω`;)。でも、いい奴であるのは確かだ。
 ヒロイン、暴力こそなかったけど、母親に捨てられ、学校にも行かせてもらえず、親代わりの男(母の元彼)から最低限の世話だけしてもらって大きくなる。なのに、奇跡のように真っ直ぐ育ち、家族がいないかわりに友だちをとても大切にする。それこそ、「自分の身はどうなってもいい」と本気で思ってる。
 そのいじらしさにヒーローは、

「もっと自分を大切にしろ! ていうか、俺に大切にさせろや(゚Д゚)ゴルァ!!」

 と激怒しながら、うまく気持ちが伝えられない。彼もだいぶとっちらかっています。何も知らない彼女をこのまま自分のものにして、いいものか──いろいろな教育を受けたり、様々な人との出会いを邪魔してしまうのではないか、と悩む。ヒーローもいい奴です。
 軽い読み口ですが、なかなか切なくて楽しかったです。
(★★★☆)

最終更新日 : -0001-11-30

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