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2013 · 08 · 21 (Wed) 09:29

●『恋のたくらみは公爵と』ジュリア・クイン

●『恋のたくらみは公爵と』ジュリア・クイン(ラズベリーブックス)
 八人のきょうだいに囲まれて育った子爵令嬢ダフネは、幸せな結婚を望んでいたがどうもうまくいかない。周りからせっつかれたりしつこい求婚者に困っているところに現れたのは、帰国したばかりのヘイスティングス公爵サイモン。結婚したくない彼と婚約しているふりをすれば、お互い面倒が避けられるはず──だったが。("The Duke And I" by Julia Quinn, 2000)
・〈ブリジャートン〉シリーズ第1作

 再読です。これからシリーズの続きを読んでいこうかな(´∀`)。
 ヒーローは、公爵の跡継ぎとして父親からものすごく期待されて生まれてきたのですけど、四歳までしゃべれず。完璧でない息子をないがしろにする自己チューで心ない父親。
 やっと言葉を発したと思ったら吃音があったものだから、

「こいつは愚か者だ!」

 と決めつけ怒鳴り散らし、その後一切、父親らしい交流はなし。
 小さな息子が努力して吃音を克服(極度に緊張したり激怒するとちょっと出る程度)しても、何百通も手紙を書こうと見向きもしないという非情ぶり。このオヤジは人でなしです(`ω´)。
 母も出産の時に亡くなっているので、ヒーローは一人ぼっちのまま大人になる。頭脳明晰で堂々としたハンサムで、友人(親友はヒロイン長兄)もたくさんいる。でも中身は傷つきやすい子供のまま。
 婚約者のふりをしていたヒロインはなんだかんだで結局本当に結婚するんだけど、この事情を知って、なんとかクソオヤジの呪縛から彼を解放しようとがんばる。八人のきょうだいたちに揉まれ、わからず屋のヒーローをグーパンチで殴るほど気概のある女の子ですが、傷は根深く、彼自身もかなり頑固。
 彼女が愛情ゆえにズバズバとヒーローの本質を突いていくところが痛快で、同時に切なかった。こういうのって、相手と同じくらい本人も傷つくよね(´・ω・`)……。

 ところで、これを読んでネットとか世間で言われている言葉を思い出しました。
 一つは、

「悪口は自己紹介」

 というもの。これはまだネットでしか見たことないんだけど、本質ついているなあ、と常々思っています。
 ヒーロー父は、自分が愚か者であることに気づかなかったかわいそうな人です。たった一人の息子を「完璧でないから」という理由だけでないがしろにしたせいで、独りで淋しく亡くなってしまった。
 彼は晩年、息子に当てた手紙を友人に託し、ヒロインを通じてヒーローの手にちゃんと渡ったんだけれども、父の呪縛から解けた彼は読まないことを選択する(とりあえずだろうけど)。もうあまり父親への関心がなくなってしまったのよね。
「好きの反対は嫌いではなく、無関心」
 ということだ。
 手紙を読んでほしかった、という人もいると思うけど、私は読まない方がよかったと思う。肉親であるからわかりあえる、というのももちろんあるけど、ダメなものはダメという場合も絶対ある。このオヤジは、どうにかするなら生きてるうちにやるべきだったわけで──やっぱりダメな例だと思うよ(´д`;)。
 そしてそれは、

「真の復讐は、自分自身が幸せになること」

 という気持ちにつながっていく。
 ヒロインがそう信じ、頑固なヒーローの尻を叩いて導いていくところがとてもよかったです。
(★★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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