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2013 · 11 · 15 (Fri) 08:46

□『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編]始まりの物語/[後編]永遠の物語』

『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編]始まりの物語/[後編]永遠の物語』2012(Blu-ray)
 自分のことを「何のとりえもない普通の女の子」と思う鹿目まどかが通う中学に、謎めいた少女、暁美ほむらが転校してくる。彼女はまどかに突然「今の自分とは違う自分になんてなろうとするな」と言い放つ。戸惑うまどかだったが、実は魔法少女であったほむらが狙う謎の生物「キュゥべえ」を助けたことから、自分にも魔法少女の素質があることを知る。(総監督:新房昭之 声の出演:悠木碧、斎藤千和、水橋かおり、喜多村英梨、野中藍、加藤英美里、他)

 新編を見に行くため、見ておきました。テレビシリーズも全話見てます。
 テレビシリーズを見ているから見なくてもよかったかなあ、と思いましたけど、実はおまけのサントラ目当てでBlu-rayを買ったのですよね。
 総集編としてきっちりまとめてあるので、時間ないけどまどマギの基礎知識を仕入れたい、という人にはおすすめです。マミさんのあまりに気の毒な契約理由はカットされてたな……。

 感想というか、今回考えたのは「私はなぜこの作品が好きか」ということ。
 いくつか理由があります。
 まず一つは、この作品が「ミスリードの物語」だということ。視聴者や観客をだますためのテクニックが周到に張り巡らされているのです。一番わかりやすいミスリード(?)は、もちろん「魔法少女」。それが持つある種の様式美を逆手にとり、前編のラストでキュゥべえが語るような希望あふれる「魔法少女」から呪いをふりまく「魔女」への変貌のからくりを隠す。作者側の法則と観客側の前提のズレを利用して、しごく当たり前のことなのに意外性を持たせる。
 それから、キュゥべえの容赦のない悪役(いや、トリックスターというべきか?)ぶり。容赦どころか良心のない存在。それを「魔法少女」につきものの可愛い生き物にしている皮肉。ぶっちゃけああいう生き物は、いてもいなくてもいいからね(-ω-)。それを詐欺師そのものの論調で物語を翻弄する存在にしていて、インパクト大。
 そして、物語の道筋がかなりベタであるということ。「魔法少女」の設定を最大限に利用したキャラの立て方をしているので、その性格や状況故の願いごとはとてもわかりやすい。知らぬ間に彼女たちの悲劇は加速し、先をどんどん見えなくさせ、観客の不安を煽る。
 そして、後半にはどんでん返し。しかも二つ。一つは「これはほむらの物語でもあった」という意外性を現し、そして、多大な素質がありながら弱音しか吐かなかった主人公まどかの決意からの逆転劇は、悲しくも幸福なカタルシスをもたらす。
 まどマギは、私に久しぶりに訪れた「物語の快感」だったのです。
 小説であれ、映画であれ、快感が得られるほど面白い物語に出会う機会は、年をとるとともに少なくなってきます。これは仕方のないことなので文句はありませんけど、それ故にたまに得られるとその喜びは大きい。しかもそれがベタであればあるほどうれしい。ベタで面白いって、話作りがすごくうまいってことだから。
 作り手の巧妙なテクニックに踊らされたいんだよね、結局は。夢中になれるものを探している者に対しての真っ向勝負が見たい。気持ちよくだまされたいのですよ、物語中毒の人はさ。
 それがまどマギにはあった、ということなのです。あとから考えると、「魔法少女」を隠れ蓑にしたその話作りの手法は、えげつないほどなんだけどね。

 評価で星半分下げたのは、テレビシリーズとの兼ね合いってことで……。時間があったら、やっぱり全話見た方がいいかな、と思います。
(★★★★☆)
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最終更新日 : -0001-11-30

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