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2013 · 11 · 19 (Tue) 21:01

◯『七人目の乙女の伝説』ヴィクトリア・ホルト

◯『七人目の乙女の伝説』ヴィクトリア・ホルト(バベル・プレス)
 セント・ラーンストン・アッバス屋敷の壁の中から人柱になった修道女の骨が出てきた。貧しい土壁コテージの住人ケレンサは、その現場を見たくてたまらず、屋敷の敷地に忍び込む。その時ケレンサが出会った四人の男女は、彼女の人生に密接に絡み合う。ケレンサには大きな野望があった。レディのようになって、アッバス屋敷に住むという野望が──。("The Legend Of The Seventh Virgin" by Victoria Holt, 1965)

 最近、この名義での一作目がロマンスとして翻訳出版されたヴィクトリア・ホルトの作品です。いくつかペンネームがあり、ウィキペディアには「エリナー・ヒバート」の項目に入っています。
 ミステリーファンからマニアックな支持があるようなのですけど、出来に振り幅があるとかなんとか……。
 この作品もロマンスかしら、と思って読んだんだけど、違ってた……。とにかく主人公ケレンサのキャラが強烈だった。お話は少しミステリー仕立てだけど、彼女のキャラには勝てなかったな……。
 一人称の場合、主人公が好きになれないと読み進むのがつらいんだけど、最初の方はとってもよかった。なぜかというとケレンサ、しょっぱなから超傲慢で自信たっぷりなんだけど、何しろ12歳だったから。この子がどう成長していくんだろう、とちょっとワクワクしました。
 しかし、途中で「おや、ちょっと思ってたものと違うぞ」と思い始める。この話運びでロマンスみたいに終わったら、私なら、

「バカにすんな(゚Д゚)ゴルァ!!」

 となるよな、と……。
 だって、ケレンサが全然成長しないんだもん(´・ω・`)。彼女はどこまでも「お屋敷に住むアテクシ」に執着する。窮地を救ってくれた友人メリオラがどんどん不幸に見舞われたり、苦境に陥っても、かなり自己中心的に突き進む。罪悪感は抱いているのだが、メリオラが全然見返りを求めないし、「そのうちうまくいく」としか思わない。でもその「うまくいく」は自分の望んだ状況であって、誰かを思いやってのことじゃないんだよね。自分の思い通りにならないと我慢ならない部分をいつまでも持ち続ける。
 ところで、「七人目の乙女の伝説」というのは──アッバス屋敷は元修道院なんだけれども、その庭に修道院を追放された六人の修道女の化身だと言われている石がある。物語の冒頭で、あらすじに書いたように七人目の骨が見つかって、折にふれてケレンサはその七人目の乙女と自分を重ね合わせる。不吉な乙女の伝説にもかかわらず、なぜ?
 それは、「自分ならそんな悲惨な最後になるわけない」と思い込んでいるから。人柱にされた七人目の乙女のことも、単なるドラマチックな味つけにしか考えていないから。
 その12歳から成長していないような傲慢さと自己チューさにスカーレット・オハラを思い浮かべたんだけど、訳者あとがきでもそんなようなことが書かれていた。
 なんとなくだけど作者は、

「『風と共に去りぬ』のメラニーはもうちょっといい目にあってもいいし、スカーレットにはもうちょっと頭よくなってもらってもいいんじゃね?( ゚Д゚)」

 と思って書いたんじゃないかと感じました。
 それから、この作品自体は確かにロマンスとは言いがたいんだけど、メリオラが主人公と見れば、かなりロマンスです(ヒーローが出てくるまでが長いけど)。メリオラもなかなか強い女子なので、これはこれで面白そう。
(★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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