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2014 · 06 · 07 (Sat) 16:01

▽『影なき男』ダシール・ハメット

▽『影なき男』ダシール・ハメット(グーテンベルク21)
 元探偵ニック・チャールズは、妻のノラとクリスマスシーズンを過ごすため、ニューヨークへやってきた。そこへ昔の依頼人ワイナントの娘ドロシーがやってきて「両親が離婚してから父親に会っていないので、探してほしい」と言う。ニックはすでに探偵ではないので依頼を断り、ワイナントの弁護士を紹介する。だが弁護士も、元妻も、ワイナントの行方を知らない。その後、彼の秘書が死体となって発見される。("The Thin Man" by Dashiell Hammett, 1934)

 ずっとこの本、探していたのです。
 紙の本では全然見つからなかったのですが、最近、Kindleで1984年のハヤカワポケミス版と見られるテキスト(訳者が同じ。ただ訳自体はもっと古いかも。1950年の?)を発見して買いました。
 なぜ読みたかったかというと、こういう記事を読んだから。

 ノーラ・ロバーツ・ホテルがオープン

 そこの部屋の一つがこの作品の夫婦「ニック&ノラ」の名を冠しているということで、ロマンスクラスタとしては、

「読んでおかねば!(゚Д゚)」

 と思ったのです。
 しかし読んでみてわかった。ノーラ・ロバーツが萌えたのは、この原作の夫婦じゃなくて、おそらく『影なき男』シリーズとして映画化された方だったのではないか、と。
 でも別にがっかりしないっ。確かに萌えはないですけど、ダシール・ハメットについては、私自身がけっこう思い入れのある作家なのでね。
 本の感想については──どうなんでしょうか。ちょっと困ってしまった。かなり散漫な印象です(´・ω・`)。登場人物が多いのもあるし、主人公ニックにやる気がないので、捜査が遅々として進まない。
 けど、これはハードボイルドの始祖ハメットの作品ですから、「やる気がない」って言っちゃいけない(´-ω-`)。ていうか、ドロシーやその母ミミ(これがものすごいキチっぷり)の依頼や警察側の要求をのらりくらりとはぐらかす様子が気だるくて、なかなかよかった。
 でも、もうスレたおばさん読者である私には、初っ端から筋書きが見えてしまったのであった……。あれ、けど今思ったけど、これは見えて当然な書き方なのかな? 発表された当時はどうだったのかな? それもよくわからない……。
 読書経験が浅い若い頃に読めば、きっと印象が変わっていたであろう。『血の収穫』や『マルタの鷹』は面白かったという記憶がある。ほとんど十代後半から二十代前半に読んだものだ。
 だいぶ古いものだから、しょうがないんだよね。今と昔では小説の書き方が違うし、娯楽小説というのはそこら辺もっとも影響受けやすい。
 まあ、映画を見てみようかな。

 で、ここからはハメットに対する思い入れ。
 本も読んでましたけど、これだけ思い入れを持つようになったのは、作家リリアン・ヘルマンの自伝を映画化した『ジュリア』を見てから。
 ジェーン・フォンダ扮するヘルマンの恋人ハメットを演ったジェイソン・ロバーズがほんとにかっこよくて(´д`*)。
 見てくれではなく、なんかこう……酸いも甘いも噛み分けた知的な、でもくたびれた中年(初老?)男の魅力というか。おっさん好きな私の好みど真ん中で、いまだに「ベスト・オブ・おっさん」のトップに君臨している。二番目はサム・シェパード。迫るジェイソン・ステイサム、ダニエル・クレイグ。
 しかも、顔はジェイソン・ロバーズよりも本人の方がかっこいい『ハメット』という映画でやはり本人に扮したフレデリック・フォレストよりもいい(両人とも似ているんだけど)。映画『マルタの鷹』(見てない)で探偵サム・スペード役だったハンフリー・ボガードは言わずもがな。
 今回この作品を読んだことで、ちょっとハードボイルド熱も甦った感じです。『ガラスの鍵』も読んでないから読もうかな。レイモンド・チャンドラーも新訳の『ロング・グッドバイ』の方を読み直そうかな。
『ジュリア』も見直さねば(DVD買ってある)。
 ──ということで、作品の評価は作者に思い入れがありすぎるのでこれくらいにしとく(´・ω・`)。
(★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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