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2014 · 06 · 16 (Mon) 15:19

●『無慈悲な王に手折られし薔薇』アン・スチュアート

●『無慈悲な王に手折られし薔薇』アン・スチュアート(MIRA文庫)
 1768年、フランス。エリナーは、英国の男爵家令嬢でありながら、奔放な母に振り回され、パリの貧民街暮らしを余儀なくされていた。ある夜、有り金を持って姿を消した母を追いかけてローハン子爵フランシスのシャトーへ赴く。このシャトーでは、〈天の御使い〉という禁断の宴が開かれているという。子爵はそこで“地獄の王”と崇められていた。("Ruthless" by Anne Stuart, 2010)
・〈愛と享楽のローハン子爵家〉第1作

 今月の新刊です。Kindleで買いました。
 ひねくれ者のヒーローのおかげで、読み応えのある作品になっていました。派手なことは起こっていないのに、先が気になる。アンハッピーエンドフラグがなかなか折られなくて、緊張感あります。
 自分よりも、美しい妹やどうしようもない母親を優先するあまり、かなりかわいそうな目に合うヒロインですが、このひねくれ者が惚れるだけあって、とても強い子。「自分は不器量(´・ω・`)」というのをことあるごとに言いますが、ヒーローはその痛いほどの献身ぶりと、自分とあまりにも違いすぎる清純さに惹かれる。
 ヒロインの率直な質問を、

「ノンノン、そんなことあるわけないザンス」

 と伊達男を気取ってかわし続けますが、実は周囲に気持ちは全部バレている。気づかないのはヒロインだけ。友だちやヒロイン妹に訊かれると、「ぜってー認めねえ!( ゚Д゚)」みたいな態度になる。
 人によってはヒーローのあまのじゃく加減に腹が立って、読み進めなくなるかも、と思わなくもない。「いつ認めんだよ(-_-;)」と思っていたら最後の方、ほとんどヤケクソのように爆発。いきなりキレてそのまま終わってしまったんで、ちょっと「アレレ(・o・ )」って思いました。
 あと、そこここに地雷臭が。私は特に平気でしたが、クソバカな母が金欲しさにヒロインを利用するという状況は──今でも似たようなこといくらでもある、というのがもう……つらいよね。母親はほんとに選べないもんね……。
 もう一つは、ヒーローがヒロインと出会ってから愛人(というより秘密クラブの会員)とベッドをともにするシーンがあること。私は一瞬怯んだけど、「まあ、別につきあってるわけじゃないし」と思い直す。たいてい「別の女でどうにかしよう」と思っても挫折するのが常だからな(^^;)。
 ある意味、細やかな掟破りが先の展開を見えなくさせているとも言えます。なかなかのリーダビリティで、楽しめました。周囲はいろいろといかがわしいですけど、HOTシーンは実は少なめです。ひねくれ者ヒーローが好きな方はぜひ。
 ところで、ヒーローがヒロインの秘密をいつ知ったのか、よくわからなかったんだよね(´・ω・`)……。私、何か読み飛ばしてる?
(★★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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