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2014 · 06 · 22 (Sun) 15:33

◆『悪魔のばら』アン・ハンプソン

◆『悪魔のばら』アン・ハンプソン(ハーレクイン)
 コレットは母親の再婚相手と継姉から家政婦のようにこき使われていた。当時、継姉がつきあっていたのはギリシア人富豪のルーク。二人はコレットの顔にあるあざを嘲笑っていた。コレットはついに母とともに家を出る決心をする。それから数年──ある悲劇と奇跡が、彼女をルークとの再会に導く。("A Rose From Lucifer" by Anne Hampson, 1979)

 今月の新刊『ハーレクイン・ロマンス特選 I』の一編。
 クソみたいな母親の再婚相手と継姉、そしてヒーロー。それでもヒーローに惹かれるヒロインですが、母親のため、そして自分のためにもと優しい人との結婚を決意する。
 好意はあっても愛していない夫に後ろめたさを感じつつも、平穏で運に恵まれた生活には幸せを感じる。ヒーローからもらった(?)一輪のバラを押し花にして大切に保管しているんだけど、夫は彼女を愛しているのでとっても幸せな毎日を送っている。罪悪感を感じる必要はないよね。しかも、結局は幸せなまま死んでしまった。
 三人で車に乗っている時、事故に遭い、夫と母親は死亡。ヒロインは九死に一生を得ますが、何回も手術を受け、その過程であざも消える。
 別人のように生まれ変わったヒロインは、裕福な未亡人となり、気晴らしに地中海クルーズへ行き、そこでヒーローと再会します。
 彼はちっとも変わっていなかった(´ω`;)。クズで浅はかな女たらし。それでもやっぱり好きだと思ってしまうヒロイン。もちろん彼女のことは憶えていませんが、偽名を名乗り、彼の誘いに乗ることにする。
 しかし、つきあってみると思ったよりもクズだとわかる。「こ、これは──まさか百年の恋も冷める展開?(;゚д゚)」と思うほど。でも、ヒロインは粘り強い(あきらめが悪い?)。

「もしかして──もしかしてわたしを愛してくれるかも」

 と一縷の望みを賭ける。しかしそれは、まるで直角近い砂山を登るかのよう。少し浮上してはずるずると落ちていく。
 ついには、

「わたし、あなたが腹の底まで腐りきっていると思いはじめているわ!」

 とまで言ってしまう──かなり後半で。やっと思い始めたのかよ! ちょっと遅すぎんだろ(´д`;)、とツッコんでしまった。
 だが、そのあきらめの悪さのおかげで絶好のチャンスがやってくるのです! このシーンはすごくいい。やっと真人間になった人と、どこまでもクズな奴の対比も鮮やかです。
 いやー、古い作品のクズヒーローは読み応えある。そこからの逆転劇こそ、ロマンス小説の挑戦といえるのではないだろうか。
(★★★★)

最終更新日 : 2015-11-04

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