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2014 · 06 · 23 (Mon) 15:10

●『ただ会いたくて』メアリ・バログ

●『ただ会いたくて』メアリ・バログ(ヴィレッジブックス)
 ウィットリーフ子爵ピーターは、過保護な母や姉から離れ、気楽で浮薄な独身生活を楽しんでいたが、美しい女教師スザンナと出会った時、奇妙な思いが胸に浮かんだ。“めぐりあえた”──だが、彼はその言葉を深く考えようとはしなかった。一方、スザンナは「ウィットリーフ」という名前にショックを受ける。それは、誰も知らない彼女のつらい過去とつながっていた。("Simply Magic" by Mary Balogh, 2007)
・〈シンプリー・カルテット〉シリーズ第3作

『ただ愛しくて』の拍手コメントでおすすめしていただいて、自炊も終わっていたので読みました。
 大変面白かったです。読み始めると止まらない〜。
 ヒーローの造形が素晴らしい。いや、かっこいいとか萌えるとかではなく、その成長ぶりが!
 まあ、たいていのヒーローは、冒頭ではアホかクズです。それがラストには少しまともになる、というのがロマンス小説の常套手段。
 この作品でもヒーロー、最初は何も考えていない。女性に対して大げさなほめ言葉を並べ、その場が楽しくなればいいや、と思う人。周りも誰も彼の口にすることを本気だと思っていない。彼自身も自分をこう見ている。

「うぬぼれの強い軽薄なヘラヘラ男」

 でも彼、実は根は優しく、性格がとても素直。思ったほど軽い男ではないのですが、残念ながら優柔不断気味です。誰にでも優しいということが時に人を傷つける、というのがわかっていない。
 ヒロインは彼のことをこう思う。

「風が吹いてくると、どんな風にも抵抗しきれずなびいてしまう」

 とはいえ、本当に芯のない奴ではなく、自分をしっかり持って強くなるきっかけが今までなかっただけとも言える。ヒロインに“めぐりあえた”彼は、自分の気持ちをつかみきれなくて混乱しながらも、ストーカーのごとく彼女に会える機会を逃さない。
 ヒロインはある悲劇的な理由があって、彼と結婚できないと思っている。それは勘違いではなく、「わー、それはきついわー(´д`;)」という理由。後半、これを自ら暴くことで、ヒーローはやっと親離れする。そこまでの優柔不断さをきっぱりと捨てないと何の決着にもならない、と初めて現実を見たって感じかな?
 称号もお金も、美辞麗句も、ヒロインを手に入れるためには何の役にも立たないって。武器はただ一つ、自分の人間としての度量だけ。
 彼の成長ぶりがよくわかるのは、ヒロインにもう一度プロポーズ(一度断られている)しようと思っている日に思うこと。彼女が結婚を承諾してもしなくても、

「新たに見つけた自信と、自分の人生を大事にしよう」

 と決意をするところ。望むものが手に入らなくたって、本当の誇りは傷つかない。
 ここを読んだ時、気づいたよ。ロマンスで「欲しいものは何でも手に入れてきた」と言う男に限ってあきらめが早いと。
 結局、今まで「手に入るもの」だけ手に入れてただけなんじゃないのかって。ダメそうなものはすぐにあきらめて、その事実に目をつぶっていただけなんじゃないの?(なんかどぶろっく風)
 ピーターは、「そんな簡単にあきらめない」って言ってたよ(゚Д゚)! 何度でも竜退治に行ってこいよ!

 他にもいろいろ書きたいことはあるけど、長くなりそうだからこの辺で。
 切なすぎる過去を持つヒロインと、例のクソ姑がめったに顔を合わせないように、がんばれ>ヒーロー
(★★★★☆)

最終更新日 : 2017-04-15

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