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■『ある愛の詩』

■『ある愛の詩』"Love Story" 1970(AIVレンタル)
 ハーバード大生オリバーは、図書館でラドクリフ女子大生ジェニーに出会う。たちまち恋に落ちた二人は、卒業と同時に結婚を決意する。だが、オリバーは大富豪の御曹司、ジェニーの家はクッキー店を営む庶民。オリバーの父は反対するが、二人はそれを押し切って結婚する。(監督:アーサー・ヒラー 出演:ライアン・オニール、アリ・マッグロー、ジョン・マーレー、レイ・ミランド他)



『あの日の風が恋しくて』を読んでいた時、この映画のことを思い出しました。御曹司と庶民の娘の恋物語ということで。Amazonインスタント・ビデオのクーポンがあったので、レンタルして見た。久々の再見。
 エリック・シーガルの原作を読むという手もあったけど、家にはもうないし、新品でも手に入らないしKindleでもないし──というないない尽くし。しかし、この映画は原作者本人の脚本だったのね。ていうか、ウィキペディアによれば、映画の方が小説より先にできあがっちゃったとか。
 1970年って、もう半世紀近く前の作品だけど、私にはすごく鮮明な思い出として残っている。でもそれは封切りの時じゃなく、1978年のテレビ初放送の時──中学生の頃です。なぜかというと、吹替が山口百恵と三浦友和だったから!
 同年代じゃないとその熱狂ぶりはわからないと思いますけど(´ω`;)、そりゃあもう大変な騒ぎでしたよ。百恵ちゃんが好きだった私は当時、原作を読み、テーマ曲(嘘サントラでしたけど。今はちゃんとCD持ってる)を何度も聞き、準備万端でテレビの前に鎮座し、ワクワクしながら見始め、雰囲気に流されて涙涙で見終わったわけです。
 中学生ですから、ただの悲恋もの、難病ものってことしかわかりませんよ。そういうものは泣かなくちゃいけない、みたいな変なバイアスかかってた。
 この映画以降の少女マンガの難病といえば、だいたい白血病。今から考えると流行ってた。百恵ちゃんのドラマでもあったしね。

 私の思い出はともかく、映画のお話です。
 今見ても、あまり古い感じがなくて驚いた。というか、アメリカに内包している社会問題というのは、あまり変わっていないんだなあ。
 たとえば、社会格差。この映画は1970年、『あの日の風が恋しくて』は2004年、そして今でも、アメリカには階級社会がある。一部の上流階級と庶民の間には大きな溝があり、やはり世界が違う──というのは、私は大人になってもよくわかっていなかった。
 二十代半ばくらいの時に、『ある愛の詩』を見た友人が、

「オリバーのお父さんは、
『愛が本物なら、結婚は大学院を出てからでもいいはずだ』
 って反対してたけど、それって普通のことだよね? 理にかなってるのに、どうしてそれに反発して二人は結婚しちゃったの?」


 と訊いてきたんだけど、私もわからなかった。その時はまだ、アメリカにもイギリス貴族みたいなセレブがいるなんて知らなかったから、「それもそうだなあ、どうしてだろうね?」としか答えられなかった。そんなに焦らなければ、ジェニファーが学校の先生として働いて、オリバーが大学院(ロースクール)に進んで弁護士になるまで養わなくてもよかったのに、って。結婚に反対していた父親が学費を切っちゃうんだよね。
 今ならオリバー父の真意はわかる。彼は、とにかく二人を別れさせるための時間が欲しかったのです。少しでも二人に隙ができたら、物理的にも離し(イギリスに息子を留学させちゃうとか、外国に研修に行かせるとか)、息子の気持ちを惑わせ(もっと美人で家柄のいい子に色仕掛けさせちゃうとか)、どうしてもダメなら、とにかくお金持ちですから、金でどうにか買収しよう、あるいは相手が父子家庭だから親の方をどうにかできないかとか。
 二人は、というかきっとオリバーは、父親がどれだけえげつないことをするかわかっていたから、さっさと結婚してしまったに違いない。もしかしたら、原作にちゃんと書いてあるかもしれないね。中学生の時に読んだからなあ。気がつかなかったかもなあ。
 ──と、映画を見る前は考えていた(ハーレ読み過ぎ(´ω`;))。映画での父親は、そこまでえげつない人には見えないけど、富豪のバレット家にふさわしい人が嫁だったら、と思う気持ちは絶対にあったと思う。

「結婚するなら、学費切るぞ(゚Д゚)ゴルァ!!」

 と言ったのだって、そう言えば音を上げるだろうと思ったからだろうし。
 でも、二人は音を上げずにがんばり、オリバーはロースクールを卒業して一流弁護士事務所に就職し、そろそろ子供がほしいね、と言っていた矢先に、ジェニーの病気が発覚。
 白血病でなくても、若いのに難病にかかり、治療の甲斐なく亡くなる、というのは今でも避けられないつらい物語です。オリバーとしては、結婚にかなり自分のエゴを押し通したことを気にしていたり。ジェニーには音楽の才能があって、パリに奨学金で留学することになってたんだよね。ナディア・ブーランジェに指導を受ける」とか言ってて、ちょっとたまげた。昔はわからなかったけど、超優秀じゃん(;゚д゚)!(って設定だけど)
 オリバーは彼女に結婚を申し込んで、それを断念させちゃうのです。そこには彼女と離れたくないという気持ちの他に、一刻も早く父親から独立したいという焦りもなかったとは言えない。
 でも、

「そんなことに罪悪感なんて持たないでよ!」

 と言うジェニー。ええ子や(つД`)……。
 パリに行っても病気にはなっていたかもしれないし……そしたら、結婚しなかったことを後悔したかもしれない。
「愛とは決して後悔しないこと」
 という名セリフと同じ気持ちで旅立ったのなら、彼女は幸せだったんだな、と思えます。

 ジェニーのお父さんがとてもいい人で、最後の病院のシーンは痛ましかった……。
 オリバーはジェニーに最高の治療を受けさせるために、父親に使い道を言わずにお金を用立てしてもらうんだけど、あそこはすべてを打ち明けた方がよかったんじゃないか、と見終わった時は思った。けど、使い道を言わないで出してもらう、という選択肢は、あとから父親にショックを与えるよね……。わかりあえなかった父子は、あそこから始まる、という方が自然かもしれない。ジェニーには「ちゃんと話したら、医療費出してくれたよ」って言ってたのかもしれないし。アメリカでは、最高の治療は今でもお金がないと受けられないから、
「よかった。お父さんと和解したのね」
 と思って死んでいったかも(´・ω・`)。
 アリ・マッグローのジェニーは、とってもよかったです。美人というより個性的な人。スタイルがよくて生意気で、冗談が好きで賢い。お洋服がかわいかった。ライアン・オニールはこれ以降のキャリアがしょぼいけど、いまだにこの映画が残っていることは誇りに思っていいよ。
 ほとんど陳腐と言ってもいいくらい、ベタな悲恋映画なんだけど、今見ると一周回ってかえって新鮮。どストレートだからこその力かな? 私が年を食ったということだけかもしれないけど……。
(★★★★)
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genre : 映画

tag : ★★★★ ロマンス映画

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
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