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2014 · 12 · 15 (Mon) 08:40

●『ひめごとは貴婦人の香り』エリザベス・ホイト

●『ひめごとは貴婦人の香り』エリザベス・ホイト(ライムブックス)
 伯爵の娘で未亡人のレディ・エメリーンは、洗練された貴婦人。社交界での付き添いなどお手の物だが、「妹の付き添いをしてほしい」と隣の家に越してきた貿易商サミュエルからの頼みには、なぜか心が震える。社交界のルールなどを一切無視してエメリーンに近づくサミュエルだが、それにはある理由があった。("To Taste Temptation" by Elizabeth Hoyt, 2008)
・〈四人の兵士の伝説〉シリーズ第1作

 面白かったのですが、いまいち乗りきれなかったような気がした……。
 それは多分、ヒロインのキャラがつかみきれなかったから。
 ていうか、ヒロインはツンデレだよね? ツンデレヒロインがあまり得意でないから、そのせいかなあ。
 ヒーローは、元軍人。植民地(アメリカ)で起こったフレンチ・インディアン戦争で裏切りに遭い、仲間を虐殺されており、その裏切り者を探している。容疑者の一人がイギリス貴族なので、ヒロインと妹を(言葉は悪いけど)利用して社交界に入り込み、そいつを追い詰めようとしている。しかしその男はヒロインの婚約者で──というお話。
 ただ、第一容疑者の疑いはすぐに晴れる(二作目のヒーローだそうだし)。そのあとは、ひたすらヒーローがヒロインに迫りまくり、ヒロインが負けまくる。
 ミステリとまではいかないけど、謎とロマンスとのバランスが悪いというか、割とすぐに犯人もわかってしまうので、HOTシーンで埋めている感がなきにしもあらず──ロマンス的には正しいんだろうけど。
 ヒロイン、ツンデレっていうか、強がりな仕切り屋という感じで──「社交界で生きていくしかないけど、ほんとは自分の意志で生きていけたら(´・ω・`)」と思っていたのではないか、と推測。その気持ちがもっと端々ににじみ出ていたら、切なさがアップしたのではないかな。彼女のそういう気持ちを引き出すためのヒーローの方法がちょっと粗野すぎたのかもしれない。意地悪なことして怒らせるだけじゃないよね……。
 あと、関係ないけど、タイトルがそこはかとなくエロい。読んでいてヒーローも野生人という感じだし、貴婦人でもヒロインがしょっちゅうシャワー浴びるわけでもないしで、いろいろと鼻をひくひくさせてしまった。ヒーローはPTSD気味なんだけど、フラッシュバックのトリガーが「男の汗のにおい」というのもね……なんか生々しいと思いました……。
 章の冒頭のおとぎ話はとてもよかった。大好きなアンデルセンの『野の白鳥』を思い出しました。
(★★★☆)

最終更新日 : 2014-12-15

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