2015 · 01 · 04 (Sun) 08:44 ✎
1/2の記事『時のかなたの恋人』、ラストがモヤるという人のために、ちょっと思うところを書いてみました。
ネタバレしておりますので、ご注意ください。
ネタバレしておりますので、ご注意ください。
お話の裏側で、こんな会話がされていたのでは、と妄想。
「すみません、神様」
「なんだ、雲の管理人」
「雲……なんですか? その呼び名は」
「最近、外界の者たちがお前のところのような記憶のバックアップ場所をそう呼んでいるから、わしも真似してみた」
「あー、そうですか……」
神様なので、“管理人”の呼び名は気分ですぐ変えられてしまうのだ。まあ、場所も雲の上ではある。
「それはそうとどうした?」
「あのー、不具合の報告です」
「話せ」
「16世紀のニコラス・"コリン"・スタフォードが、このままだと必要なデータを残さないまま、死にそうです」
「なぜだ?」
「妻のレティスに謀殺されてしまうようです。彼女はすでに彼の兄と息子を亡き者にしました」
「そんなことする予定はなかっただろう?」
「はい、もちろんそうです。彼女には子供は生まれず、息子のジェイムズが家督を継ぐはずでした。でも、彼女の私利私欲が思ったよりも肥大したようで──」
「ウィルス化したか」
神様はチッと舌打ちをした。
「でも、スタフォードのふるまいのせいでもあります。親友の妻に手を出し、妊娠させ、彼女が出産の時に亡くなっているので恨まれて、レティスに手を貸すきっかけを作っています」
「……思ったよりもクズに育ってしまったか。自業自得──と言いたいところだが、そうなるとダグレスが一生泣いて暮らすことになるしな」
「神様、彼女がお気に入りですもんね」
「とびきり優しい子にして、そのとおりに育っているが、優しすぎてアホな男にばかりひっかかっているのが困るがの」
「どういたしましょうか?」
「修正にはどれくらいかかる?」
「もうやれることはやり尽くしました。本人──コリンを現代に送る方法を試してみましたが、遅すぎたのかどうやっても修正が効かなくて──」
「ダグレスを16世紀に送ればいいだろう?」
「ええっ!? 泣いてばかりで何もできなさそう……」
「失礼な。あの子は泣き虫だが、芯は強いのだ。そういうふうにわしが作った。いざという時の柔軟性を高くしておいたんだぞ。まだその『いざ』がなかっただけだ。それはまさしく、今でしょ!」
神様、もう古い──と管理人は思ったが、言わなかった。
「で、でも、本人同士が接触したらデータを共有する仕様になってますけど、古いマシン──じゃない、人間に新しいデータ入れるとエラーが出ますよ」
「そこら辺の調整も、ダグレスにまかせておけ」
「ええっ!?」
「彼の方を先に現代に送っておいてくれてよかった。案の定、彼女はあの男に惚れただろ?」
「はい」
「それがあの子の一番の力になるんだ」
「愛ですか?」
「そう、愛だ」
しばらく二人でしみじみと愛の可能性に思いを馳せる。
「ていうか、彼女を送っても本来の相手のリードは平気なの?」
「あ、大丈夫です。レティシアとの婚約破棄は自力でできそうです。多少、過去をいじらないといけないですけど、それは簡単です」
「……前世のクズのせいで、ダグレスの手助けなしにがんばらねばならないというわけか……」
「それでも彼の人間性は一つも損なわれません」
「もうちょっとバランスよく作れないものかの?」
「まあ、それが人間ですから」
リード、かわいそうだな!
ということで、ダグレスの本来のロマンスの方も読んでみたかった、と思ったり(いや、私の妄想だからね)。
器が変わるだけで、ダグレスの相手はずっとおんなじなんでしょうね。人間、大切なのはやっぱり中身! ──というのはと違うか(´∀`;)。
「すみません、神様」
「なんだ、雲の管理人」
「雲……なんですか? その呼び名は」
「最近、外界の者たちがお前のところのような記憶のバックアップ場所をそう呼んでいるから、わしも真似してみた」
「あー、そうですか……」
神様なので、“管理人”の呼び名は気分ですぐ変えられてしまうのだ。まあ、場所も雲の上ではある。
「それはそうとどうした?」
「あのー、不具合の報告です」
「話せ」
「16世紀のニコラス・"コリン"・スタフォードが、このままだと必要なデータを残さないまま、死にそうです」
「なぜだ?」
「妻のレティスに謀殺されてしまうようです。彼女はすでに彼の兄と息子を亡き者にしました」
「そんなことする予定はなかっただろう?」
「はい、もちろんそうです。彼女には子供は生まれず、息子のジェイムズが家督を継ぐはずでした。でも、彼女の私利私欲が思ったよりも肥大したようで──」
「ウィルス化したか」
神様はチッと舌打ちをした。
「でも、スタフォードのふるまいのせいでもあります。親友の妻に手を出し、妊娠させ、彼女が出産の時に亡くなっているので恨まれて、レティスに手を貸すきっかけを作っています」
「……思ったよりもクズに育ってしまったか。自業自得──と言いたいところだが、そうなるとダグレスが一生泣いて暮らすことになるしな」
「神様、彼女がお気に入りですもんね」
「とびきり優しい子にして、そのとおりに育っているが、優しすぎてアホな男にばかりひっかかっているのが困るがの」
「どういたしましょうか?」
「修正にはどれくらいかかる?」
「もうやれることはやり尽くしました。本人──コリンを現代に送る方法を試してみましたが、遅すぎたのかどうやっても修正が効かなくて──」
「ダグレスを16世紀に送ればいいだろう?」
「ええっ!? 泣いてばかりで何もできなさそう……」
「失礼な。あの子は泣き虫だが、芯は強いのだ。そういうふうにわしが作った。いざという時の柔軟性を高くしておいたんだぞ。まだその『いざ』がなかっただけだ。それはまさしく、今でしょ!」
神様、もう古い──と管理人は思ったが、言わなかった。
「で、でも、本人同士が接触したらデータを共有する仕様になってますけど、古いマシン──じゃない、人間に新しいデータ入れるとエラーが出ますよ」
「そこら辺の調整も、ダグレスにまかせておけ」
「ええっ!?」
「彼の方を先に現代に送っておいてくれてよかった。案の定、彼女はあの男に惚れただろ?」
「はい」
「それがあの子の一番の力になるんだ」
「愛ですか?」
「そう、愛だ」
しばらく二人でしみじみと愛の可能性に思いを馳せる。
「ていうか、彼女を送っても本来の相手のリードは平気なの?」
「あ、大丈夫です。レティシアとの婚約破棄は自力でできそうです。多少、過去をいじらないといけないですけど、それは簡単です」
「……前世のクズのせいで、ダグレスの手助けなしにがんばらねばならないというわけか……」
「それでも彼の人間性は一つも損なわれません」
「もうちょっとバランスよく作れないものかの?」
「まあ、それが人間ですから」
リード、かわいそうだな!
ということで、ダグレスの本来のロマンスの方も読んでみたかった、と思ったり(いや、私の妄想だからね)。
器が変わるだけで、ダグレスの相手はずっとおんなじなんでしょうね。人間、大切なのはやっぱり中身! ──というのはと違うか(´∀`;)。
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最終更新日 : 2017-04-26