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□『アメリカン・スナイパー』

『アメリカン・スナイパー』"American Sniper" 2014(2/21公開)
 米海軍ネイビー・シールズに所属するクリス・カイルは、9.11以後、イラク戦争に四回派遣され、160人を狙撃し殺害した。味方からは「史上最強の狙撃手」「伝説」と称えられ、敵側からは「ラマディの悪魔」と呼ばれた。素顔のクリスは、妻子を愛するテキサス人であったが、戦場での経験は次第に彼を蝕んでいく。(監督:クリント・イーストウッド 出演:ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー、ルーク・グライムズ、ジェイク・マクドーマン、他)



 クリス・カイル(ウィキペディアには当然映画のネタバレがあります)というのは実在の人物なのですが、ロマ本読みとしては、驚くほどなじみ深いスペックの人です。
 テキサス生まれのテキサス育ち、もちろん南部なまりのしゃべり方。軍に入る前はカウボーイをやっていて、ロデオの試合にも出ていた。厳しい訓練を経てネイビー・シールズに入隊後、イラクにて狙撃兵として活躍。米軍最高記録の160人を殺害、「伝説」と言われる。除隊後は民間軍事会社を設立、PTSDに悩む帰還兵のサポートやリハビリを行なっていた。シールズの訓練中に知り合った奥さんとの間には、息子と娘がいる。
 何これ、リサ・マリー・ライスかスーザン・ブロックマンのヒーローかよ(゚Д゚)! と思ってしまうほどの高スペック。ロマンス作家たちがモデルにしているところもあったかもしれない。しかもルックスも、今大人気のイケメン俳優ブラッドリー・クーパーと並べても引けを取りません。むしろ体格はクーパーが寄せないといけなかったほど。
 しかし、ロマンスのように「いつまでも幸せに暮らしました」とならないのが現実(´・ω・`)──なんだけど、最近の戦争映画(『ハート・ロッカー』とか『ゼロ・ダーク・サーティ』とか)と比べると、あまり鬱々とはしなかった。実際に面白かったし。こういう映画で「面白い」って言っちゃいけないのかも、とつい思っちゃうんだけどね。
 それは、描き方が非常に淡々としていたからだと思う。ストイックというか、ハードボイルドな感じ。元々「ハードボイルド」というのは小説の文体で、感情を排し行動描写で物語の進める手法のことですけど、クリント・イーストウッドの演出には、そういう硬質なところがある。意図的というより、そこら辺が揺るぎないのではないのかな。とてもシンプルなので、描く人物やテーマによって映画の雰囲気もガラリと変わりそう。特に今回、エンドロールがすごいよ! ちょっと驚きますよ。
 まあ、ある意味「観客に丸投げ」とも言えるけど、それは映画を作る上で正しい姿勢ではある。
 私が思ったのは、
「やらなくてもいい戦争で、殺さなくてもいい人たちを殺して、ならなくてもいい英雄になった男」
 ということです。そしてそれは、カイルのせいじゃない。でも、選んだのは彼だということ。
 ひどいPTSDに悩み、同じ悩みを抱える人たちを支援することで自分も回復していった強さもあったけど、皮肉な運命には勝てなかった人。ほんとに、なんだろうか、このラスト。
 小説としてのヒーローだって、こういう人はなかなか出せないな、と思いました。ロマンスってやっぱりファンタジー。でも、現実じゃないから救いになるんだよね──。
(★★★★☆)
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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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