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2015 · 06 · 04 (Thu) 09:13

▼『白の情熱』アン・スチュアート

▼『白の情熱』アン・スチュアート(MIRA文庫)
 弁護士のジュヌヴィエーヴは、大富豪の顧客ハリーのサインをもらいに彼のクルーザーを訪れた。早く書類にサインをもらって船を降りたい。けれどもハリーは巧みにサインを避け、執拗に彼女を夕食に誘う。ハリーの個人秘書ピーターも彼女を船から降ろしたいと思っていた。実はハリーは慈善家の仮面をかぶったテロリストで、ピーターは彼の計画をつぶすために潜入していたスパイだった。ジュヌヴィエーヴは、ここにいてはいけない人間だったのだ。("Cold As Ice" by Anne Stuart, 2006)
・〈アイス〉シリーズ第2作

 ダークヒーローを主役の据えたシリーズの第2作ですが、1作目『黒の微笑』の時点ではシリーズ化前提ではなかったらしい。好評によりシリーズ化だったらしいけど、これは……どうなんすかね(´д`;)。
 ヒーローのピーター、『黒の微笑』に出ていたらしいけど、全然憶えてない。まあ、それはいいのです。問題は、登場人物の誰にも感情移入できないというところ。そういう場合でも物語が抜群に面白ければいいんですけど(割とある、こういう小説)、そうじゃないのがこの作品(´・ω・`)。
 なんかねえ、ヒーローヒロインともに、ずーっと言い訳してるんだよね。「いつもの俺らしくない」「いつものわたしらしくない」行動をすることに。けどそれは恋ゆえではなく、「プロットどおりに話を進めるため」だけに見えて仕方なくてですねえ(-ω-;)。
 普通「物語」、特にサスペンスみたいなものは、いくつかの逃げ道をドンドンつぶして、たった一つの道に行かざるをえない状況を作ることによって緊張感を生むわけです。しかしこの作品の場合、「そっち行くのやだなあ」程度で避けてしまう(たとえば、「ヒロインを殺す」という選択肢とかを)。そりゃやだってのはわかりますよ、惚れた女は殺せないだろうけど、そういう厳しく避けられない選択肢をどう切り抜けるかっていうのが物語に起伏を生むんじゃないですか?
 そういう工夫があまりない上に、悪役のやりたいことがいまいちよくわからないし、話もヒーローヒロインのあまり意味ない駆け引きめいた探り探りの会話で進む。しかもヒロイン一言多い子でね(´ω`;)。口を開くたびになんかイラついたわ〜。「作戦をいちいち邪魔する女」とも言われていて、「そのとおり!」と思ったものよ。
 読み終わった時は、

「ああ、これでやっと『青の鼓動』が読める!(´;ω;`)」

 とホッとしました。これが読みたいからがんばって読んだのさ!
(★★)

最終更新日 : 2015-06-04

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