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2015 · 06 · 20 (Sat) 15:16

◆『幸せの蜜の味』エマ・ダーシー

◆『幸せの蜜の味』エマ・ダーシー(ハーレクイン)
 陶芸家のリーは、父親ローレンスの葬儀のため、実家へ戻った。父親は大会社を経営していた実業家だが、家では暴君だった。しかもリーは、母の浮気でできた子供だった。葬儀の席で母や姉たちから無視されたリーに近寄ってきたのは、父の右腕だったリチャードだけだった。彼はリーに突然こう言う。「君と結婚したいんだ」("Bride Of His Choice" by Emma Darcy, 1999)

 とても面白かったのですが、ものすごくドロドロした話だ……。
 2ちゃんねるの家庭板では、妻が浮気相手の男の子供を夫の籍に入れてしまうことを「托卵」と言います。この作品でも、ヒロインが自分の立場をまさに「郭公の托卵」と表現していて、どこの国でも同じなのね、と思った。
 ただ、この父親(リーにとっての養父)はひどい男で、家では妻に「息子を産め」とプレッシャーをかけ、リーの姉たちは娘であることでおとしめられていた。肉体的な暴力はなかったみたいだけど、精神的な虐待を一番強く受けていたのは、もちろんリーです。でも、母親は自分のせいで責められる何も知らない娘をかばうこともなく、矛先を自分からそらすことしか考えていない。それは姉たちも同じ。絵に描いたようなスケープゴートです。
 妻が夫の種ではない子供を産んだ、というのは、実はヒーローのリチャードの家も同様で、こちらは母親が追い出されている。リチャード本人は、幼くして寄宿舎に入れられていて、家族の温かさは知らないまま。
 と、ヒーローヒロインの周りがかなりのクズぞろい。リチャードが会社を自分のものにするためには、姉妹のうちの一人と結婚して、なおかつ息子をもうけなきゃならない、という条件をつきつけられている。そこで、

「ね、僕たち二人が結婚すれば、周りみんながくやしがるだろう? そのためにも結婚しようじゃないか(゚∀゚)」

 みたいな甘言めいたことをリチャードに言われて、つい結婚してしまうリー。もちろん、彼の真意は別にあるんですけどね。
 そういう利害の一致した結婚はしたけれども──というハーレらしいお話なんですが、以降も財産を巡る怒涛のドロドロ展開で、途中で、

「これ、誰も殺されないけど、『犬神家の一族』みたい(´д`;)」

 と思ったら、後半「あっ、ほんとに似てる(゚Д゚)!」となっていって、ちょっとびっくり。最後まで誰も殺されませんが。
 でも、リーじゃなくて、リチャードの方が珠世なのよね……。いろんな意味でね……。
(★★★★)

最終更新日 : 2018-09-12

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