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2015 · 07 · 10 (Fri) 13:35

◆『架空の楽園』ペニー・ジョーダン

◆『架空の楽園』ペニー・ジョーダン(ハーレクイン文庫)
 シエナはロンドンで派遣秘書をしている。ある日、事務所にやってきたアレクシスという男性に心奪われる。秘書として仕事をしながら、彼はシエナに愛の言葉をささやく。この人こそ、私の愛する人だ。シエナはアレクシスに身も心も捧げた。だがその夜、アレクシスは彼女に真実を告げる。私は──復讐に利用されたの?("Response" by Penny Jordan, 1984)

 いやはや、すごい話でした(´Д`;)。
 ヒーローに関しては「ハーレで一二を争うクズ」と私が思っていたリン・グレアム『愛する人はひとり』のよりクズでした。
 まずヒロイン・シエナに近づいた理由なのですが──ヒーロー・アレクシスには妹がいて、その妹が婚約中にレイプされて婚約破棄になってしまう。レイプしたのがシエナの兄だと思ったアレクシスは、なぜか本人ではなく、その妹に矛先を向ける。同じように妹の純潔を奪おうと考えたわけです。
 この段階でもかなりゲスいんですが、そのあとの展開もまたひどい。
 シエナは恋をした状態で身をまかせたので、暴行ではないんだけれども、終わったあと種明かしされて、ほとんどレイプと変わらないくらい傷ついてしまう。でも、こんなことを兄に打ち明けてアレクシスを殺してしまったりしたら大変だし、そうでなくてもギリシアの大富豪であるアレクシスが金にあかせて兄や自分を社会的に排除する可能性もある。彼女としては、泣き寝入りするしかないと考えてしまう。
 シエナは兄がレイプしたなんて信じないんだけど、真相はさらにショッキングであった。実はレイプ犯はアレクシスの親友の男(すでに事故で死亡)で、そいつがシエナの兄に罪をなすりつけたことを彼はまるっと信じ切り、妹にも、

「お兄さんはあの人を信じていたから、あのときは打ち明けられなかった」

 と言われてしまう。
 この段階で、「アレクシス死ねよ(゚Д゚)」と思いましたね。
 クズメーター振り切ってるよね。でもこいつ、ここまで来ても「ごめんなさい」が言えない奴なんだぜ(´ω`;)。
 しかも、これで終わりじゃないんだぜ!
 シエナは田舎の実家(両親は他界)に引っ込むんだけど、そこへ訪ねてくるアレクシス。玄関前で土下座かと思いきや、開口一番「連絡取れなかったやんけ(`Д´)ゴルァ!!」。そして、まったく謝らないままグダグダと言い訳をくり返し、「出てけ」と言われても出て行かない。「じゃあ、あたしが出てくわ!」と言って外に飛び出したシエナは車に轢かれてしまう!
 目が覚めた時、彼女は記憶を失っていた。戸惑う彼女の前に現れたアレクシスは、こう言い放つ。

「きみの夫だよ、シエナ」

 ポーン(  Д )⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒...。....。コロコロ
 どういうからくりか、本当に結婚してるしっ! 思わず「気持ち悪っ!」と言ってしまったよ(´д`;)。
 この作品は、いろいろなところでタイトルが出てすすめられたりもしていたので、面白いと思っていたのですが──いや、確かに面白い。先はとても気になります。
 けど、私はこのヒーローが気持ち悪くて、怖いとすら思いました。

「ぼくは間違いを犯した。そのことで、一生非難されなければならないのか?」

 この言い分は、まさに犯罪者というか、良心の乏しい人そのものでねえ。非難されるかされないかはお前の問題ではないんだよ。「間違い」には取り返しのつかないものがある、という認識が足りない。良心ある人は、たいていの間違いは取り返しがつかないと無意識に思っているから、なるべく罪を犯さないようにする。その真摯な気持ちがあっての間違いならば、許してもらえることもあるだろうけど、こんなことを言うような奴は、態度にすぐ出るよねえ。
「シエナー逃げて逃げて、超逃げてー!ヽ(;`Д´)ノ」
 と言いたいけど、ハーレですから……逃げない……。優しいっていうか、洗脳というか、共依存というか……破れ鍋に綴じ蓋というか。
 こんな男、野に放たないで見張っててくれ、という感じです。古いハーレの珍品として評価しておきます。

 そういえば気がついたんだけど、最近私、「鬼畜傲慢」って言葉をヒーローに対して使わない。
 そのかわりに「クズ」をよく使うなって。
 今回の話でなんとなくわかった。「鬼畜傲慢」=「クズ」だって。そりゃそうだ。「鬼畜」で「傲慢」っていいとこないもん(^ω^;)。今までちょっとマイルドな四文字熟語に言い換えてただけだったか……。
(★★★)

最終更新日 : 2015-07-11

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