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◆『シンデレラより幸せ』ジャン・ハドソン

◆『シンデレラより幸せ』ジャン・ハドソン(ハーレクイン)
 アイリッシュはかつて売れっ子モデルだったが、現在はワシントンで化粧品の販売員とライターをして生活している。夢は裕福な男性と結婚して玉の輿に乗ること。ルームメイトのボスの弟と従兄弟たちが富豪ぞろい、というのを聞いて、さっそくテキサスを目指す。ところが、そこで初めて出会った男性カイルに心奪われてしまう。でもダメ、彼は貧乏なんだから!("One Ticket To Texas" by Jan Hudson, 1997)



 ラブコメですので、貧乏と思い込んでいるのはヒロインのアイリッシュだけです。ヒーローのカイルは、今は祖父のおみやげ屋兼民宿を手伝っているけど、元はカリフォルニアで美容形成外科を経営していたやり手医師。
 祖父自体も油田持ってる人で、その孫たちはみんな富豪ぞろい。もちろんカイルも財産持ちなのですが、堂々と「私、お金持ちと結婚するのが夢なの」と言い放つアイリッシュに惚れてしまい、「お金がなくても俺を愛してほしい」という一心で懐具合を内緒にし、他の金持ち連中(友人たちの富豪)と競い合って彼女の愛を勝ち取ろうとする。
 アイリッシュが「お金持ちと結婚したい」というのにはちゃんとわけがあります。ニューヨークで仕事していた時に、家に暴漢が侵入し、レイプされかけナイフで顔を切られている。セキュリティが万全な家に住みたい、セラピーにもちゃんと通いたい、でももうそういうのを自分でまかなえるほど働けなくなってしまったので──という、けっこう悲惨な理由。カイルにものちにそれを打ち明け、

「だから貧乏なあなたとはつきあえないの。ごめんなさい(´・ω・`)」

 と正直に告げる。
 そういう子であっても不快感や痛さがないのは、「お金持ちと結婚したい」と誰にでも言っているからだと思われる。愛よりお金で得られる平穏を本気で切実に望んでいる。贅沢したいわけじゃないから、素顔は普通のいい子なのです。そうは言っても、少しでも好きな人であった方がいいとも思っているのですよね。だから何度も迫ってくるカイルを押し退け、他の金持ち連中とデートしたりするんだけど、カイルほどには全然好きになれない。
 そして、ついに愛を取るアイリッシュですが、種明かしされてやっぱり怒ってしまうわけです。

「バカみたいじゃん、あたし(゚Д゚)!」

 と。周りはみんな知ってたんだから、そりゃそうだよね。
 そのあとカイルが謝るけど──ってもっと枚数ある話だと、ここからがクライマックスで、一山も二山もありそうなんですが、割とあっさり許してしまう。
 このラストでは普通★★★★にはならないです。なのにオマケしてしまった。それは、ラスト数枚で短めなんですが、カイルの必死の謝罪に「土下座感」があったから。
 いや、本当に土下座はしてませんよ。「ひざまずいてプロポーズ」はあったけど。でも、雰囲気的にほぼ土下座状態だった。空港の人たちも巻き込んでいろいろやって、

「みっともないからあっち行け(゚д゚)!」

 と言われても、

「いやだ、許してくれるまで帰らない、愛してるんだ!」

 とわめく。

「ごめん、俺が全部悪い、本当にごめんなさい、お願いだから結婚してください(`;ω;´)!」

 と何度もくり返して、彼女が根負けしたみたいなラストですよ。
 でも一番好感持てたのは、逆ギレしないヒーローというところかなあ。自分の悪いところを認められなくて逆ギレする奴ってのは、ハーレのヒーローにはよくいるけど、やはり人間的にどうかと思うわけですよね。カイルは失敗もしたけど、基本的には大人で、彼女のことを一番に考えてあげる優しい人でありました。
(★★★★)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : コンテンポラリー ハーレクイン(文庫含む) ★★★★

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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