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2015 · 09 · 18 (Fri) 14:08

◆『白雪姫の奇跡』シャーロット・ラム

◆『白雪姫の奇跡』シャーロット・ラム(ハーレクイン)
 ベリンダは長い昏睡から、ついに目覚めた。恋人リッキーが運転する車で事故に遭った時から、八ヶ月経過していた。だが病院の人たちにリッキーのことをたずねると、皆口をつぐむ。しかも見舞いに来たのはリッキーの兄ヴィンセントだった。ベリンダはリッキーとの結婚を反対していた彼から、衝撃的なことを告げられる。「弟は結婚した。今ハネムーンに行っている」("Spellbinding" by Charlotte Lamb, 1990)

 面白かったのですけど、ヒーローのヴィンセントはもう少しうまいやり方があったのではないか、と思ったり。
 まあ、問題は彼の家族の気質そのものかもしれない。もちろん、本人も含まれていますが、まだまともな方なのかなー。
 だいたい一番悪いのはリッキーなわけです。婚約者が留学してて淋しいからってベリンダに粉をかけたんだから。事故は彼のせいではないにしても、巻き込まれたベリンダが目覚めない罪悪感に病院にも来なくなる。
 そんな状態でも毎日見舞って、話しかけていたのがヴィンセントで、退院してからも療養できるように専門の看護師を雇い、自分の家に引き取る。
 八ヶ月というのも長いけど、もっと長くなっていたらどうなっていたんだろうね(´・ω・`)。ずっと独身のまま、病院に通って面倒を見ていたんだろうか。
 そう考えるととてもけなげな男なんだけど、ちょっとしたごまかしが多すぎてベリンダからまったく信用されない(´ω`;)。「まあ、ご親切に」なんて反応はもちろん得られないわけですよ。お金持ちの彼が治療費などの面倒を見ていたって、リッキーの尻拭いとしか思われない。しかもリッキー、無保険だったんだって(゚Д゚)! 上品にとはいえベリンダから、

「まあ、おばかさん!」

 と言われるのも無理ない。でも、突っ込んできたトラックの運転手の賠償責任はどうなってたんですかね……。そこら辺はよくわからない。
 細かい設定は置いておくとしても、ヴィンセント自身は前に出ず、誰かに面倒を頼む、という方法もあっただろうし、その方が真正面から憎まれなかったろうに、と思うのですが……なんか、世話焼きたかったんですかね。まあ、そういう方法を取ると、彼女はきっと、再婚した母のいるニュージーランドへ行ってしまったであろう。それはいやだったわけだ。「そうなったら追いかける」と言っていたけど、なるべくならそばにいてほしかったのね。
 総合的に見ると、かなり繊細さの欠けるやり方です(´ω`;)。病人のストレスより、自分の望みを優先させているきらいもあり。まさに傲慢。でも、その裏には不器用さがあったな。
(★★★☆)

最終更新日 : 2015-09-18

Comments







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No title

ヴィンセントの母親が食事に来た時に、ベリンダに「我が家に不幸をもたらしているよう」と言った場面には愕然としました。
私なら、「それはこっちのセリフだ!何もかもあんたのばか息子のせいだろー!」と切れます。
そんなヒロインはいないでしょうけど。。。
2015-09-20-18:12

かずえ URL [ 返信 * 編集 ]

めんどくさそうです

>かずえさま
コメントありがとうございます!
ヒーローと結婚すると、もれなくあの姑と元カレがついてくるんですけど、いいんかよ(゚Д゚)、と私も思いました。
ハーレは基本的に当人同士の関係に終始しますけど、よく読むと義実家とのつきあいがめんどくさそうなの、けっこうありますよね(´∀`;)。
2015-09-20-18:55

三原 白 http://miharashiro.blog5.fc2.com/URL [ 返信 * 編集 ]