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◆『美しき誤解』アン・メイザー

◆『美しき誤解』アン・メイザー(ハーレクイン)
 貴族の令嬢であるヘレンは、実業家ジェイク・ハワードと二年前に契約結婚をした。ジェイクは家柄のいい完璧な妻を探していたのだ。父を亡くし、財産もなくなっていたヘレンはその条件をのんだ。以来二人は、冷たい結婚生活を送ってきた。だがジェイクは、アメリカ出張からの帰国時、ヘレンが家におらず、かつての婚約者と出かけていたことを知ると、突如として激怒する。("Jake Howard's Wife" by Anne Mather, 1973)



 ヒーローヒロインともに好きになれなかった(´・ω・`)。雰囲気もずっと二人が言い争っているので、ギスギスしているしね。
 1973年とは、かなり古めの作品なので、二人ともちょっと前時代的なキャラなんだよね。いや、もちろんこういう人は今でももちろんいますけどね。どんな人だっているもんです。でも、時代によって共感を得やすい得にくいは出てきちゃう。
 ヒーロー・ジェイクはハンサムではないけど堂々としていて押しが強く、仕事や自分の欲しいもののためなら手段を選ばない。ヒロイン・ヘレンと結婚する際も、いろいろと計算した上で彼女を取り込みます。外見は置いておくとして、私のイメージでは声と態度のでかい成金オヤジ。知性や繊細さとは無縁の人です。古い作品だと、ヒロインに手をあげるヒーローも多いですが、この人、臨時の秘書がミスしたら殴ってましたよ(-ω-;)。ヒロインは殴られてないけど、首絞められてました。ヤバい奴じゃん……。
 ヘレンはヘレンで、貴族のお嬢さまとしてのほほんと育ち、家や親の経済状況にも無頓着が故に、父が死んでから自分がほぼ無一文だとわかる。そこをジェイクに突かれ、

「俺と便宜上の結婚しない? 社交界に通じてる完璧な妻が欲しいんだよねー。金に不自由はさせないよ」

 と言われる。そこで、
「バカにすんな! 働いて自分の食い扶持くらい稼いでやる!」
 と突っぱねられる気概もなく、言われるままうだうだと二年間の“白い結婚”に甘んじている状態です。ジェイクはもちろん、出張時などにその場限りの女性と浮気をしています。
 このヘレンがめっちゃヒマで! なんかもう、そのヒマ、こっちに少し分けてくれってくらいヒマな上に、お金は腐るほどあるわけです。そりゃ友だちも「あんたの立場になりたいわ」と言うよ。あたしだってなりたいわ(゚Д゚)!
 ヒマで何もしてないから、いろいろと余計なことを考えてしまうわけです。働こうとかバイトしようとか、ボランティアしようとか、大学に行こうとか資格を取ろうとかそういう前向きな思いつきはいっさいない。じゃあせめて趣味に打ち込んだら、とか思っても、そういうのもない。
 お嬢さまだからというより、人がかりの人生しか知らない女性なんだろうね。
 ジェイクは最初、そういうヘレンを軽蔑していたはずなのに、いつしか求めるようになるというか、元婚約者と出かけたことを知って、初めて嫉妬を自覚する。
 まあ、元カレと出かけるのは誤解されそうではあるけど、自分は浮気三昧なくせに、妻が男友だちと出かけることを非難するなんて、横暴すぎる。
 妻を所有物だと思っているところもまた成金オヤジっぽいのよね。
「誰に食わせてもらってると思ってんだ(゚Д゚)ゴルァ!!」
 と言いそう。
 そういう彼のモラハラっぽい言動やガキっぽい意地悪にだんだん追いつめられていくヘレン、ついに離婚のために家を出る。ジェイクに悟られないような避難場所へ行き、そこで仕事も決めて、その上で夫の前に再び姿を現す、となっていたら、もっと後半盛り上がったかもしれませんが、避難場所から何も決めないまま家へ帰り、飲んだくれていた夫の姿にほだされて、元の鞘に収まる。
 このラストに、私はこの言葉が浮かびました。

「破れ鍋に綴じ蓋」

 ロマンスというか、家庭内の修羅場話だな……。
(★★)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : コンテンポラリー ハーレクイン(文庫含む) ★★

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
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