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2015 · 11 · 09 (Mon) 14:42

◆『雪降る町の奇跡』ローラ・ライト

◆『雪降る町の奇跡』ローラ・ライト(ハーレクイン)
 夫を亡くし、故郷へ帰る途中、イザベラは故障した車に閉じ込められた。外は吹雪で、妊娠中のため体調も悪い。意識を失いかけた彼女を助けたのはマイケルだった。十代の頃、父が施設から引き取り、イザベラの初恋の相手でもあった彼は、ソフトウエア開発でいまや大金持ちだ。マイケルは彼女を家に連れて帰るが、吹雪がやまず、家から出られなくなる。("Baby & The Beast" by Laura Wright, 2002)

 雪に降り込められて、ヒーロー・マイケルの家で出産することになるヒロイン・イザベル。マイケル、百科事典片手になんとか女の子を取り上げる。
 小さい頃両親に捨てられ、つらい思いをして育ってきたマイケルにとって、イザベルとその亡き父親との思い出だけがあたたかい。でも、引き取られて間もなくお父さんは亡くなり、13歳のイザベルは大おばに引き取られるんだけど、マイケルまでは無理だった。16歳だった彼は一人で働き始め、音声認識ソフトの開発で財を成します。
 出産を手伝い、イザベルの娘エミリの面倒も見ていると、二人の距離は当然縮まっていくのですが、他人への不信感と、自分への自信のなさから、マイケルはイザベルを遠ざけようとする。

「世話になった人の娘によこしまな気持ちを抱くなんて、恩を仇で返すみたいなもの(´・ω・`)」

 と思ってしまうんだよね。そしてもちろん、「自分は彼女にふさわしくない」とも。
 マイケルがかなり頑なな人なので、そこら辺に多少イライラしますが、基本クリスマスものなので、展開は想像から逸脱しません。無難な読後感なのが惜しい。
 でも、クリスマスものってみんなこういう感じだよね……。「変なもの読みたくない」という気持ちはよくわかる。ギスギスしたクリスマスものなんて、私でもいやだー(´д`;)。

 一つ面白かったのは、マイケルが開発しているソフトウエアが、今けっこう実用化しているってこと。

「ぼくが作ったソフトウエアはウェブと家庭を結ぶものなんだ。(中略)ホームセキュリティシステムのセットや解除をしたり、(中略)風呂の湯が前もって出してあるとか」

 もっとアイデアがほしい、という彼に対して、イザベラが言う。

「母親が車で帰宅する途中でPDA経由で哺乳瓶のお湯をあたためられるなんてどう?(中略)子供たちが無事目的地に着いたことをメッセージで送れるとか」

 PDA! なつかしいですね、今ならスマホでこれくらいできるようになってる。カメラで子供やペットを見守ったり声をかけたり、GPSで登録した目的地に着いたら自動メッセージが届くアプリもある。
 今から13年前ですからね……。この当時は、音声認識というものがもう少し浸透するものと思われていたのかな? これがもっと浸透するためには、会話できるくらいの人工知能の方が必要かもしれない。いちいちしゃべるより、指動かした方が楽だもの。iPhoneでも、Siriに訊くってことが最初に思い浮かばないからなあ。
(★★★)

最終更新日 : 2015-11-10

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