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◆『恋愛プログラム』シャーロット・ラム

◆『恋愛プログラム』シャーロット・ラム(ハーレクイン)
 一年前、夫アンガスを亡くしたナタリーは、二年目の結婚記念日に結婚指輪をなくした。意気消沈する彼女を同僚たちがパーティーに誘う。そこで、驚くほどアンガスに似た男と出会う。二人は熱に浮かされたように踊り、パーティーから抜け出すが──。("Frustration" by Charlotte Lamb, 1982)



 最近、ハーレを読んでもそんなに泣かないのですが、これはけっこう泣けました。
 ヒロインのナタリーは、とても愛していた夫を亡くしてから、仕事以外はほとんどぼんやりと悲しみに包まれながら暮らしてきた。そこに、アンガスによく似ている(といっても、顔ではなく体格とか雰囲気とかであるとのちにわかる)男ジェークが現れる。ナタリーはテレビ局の台本製作部に勤めているんだけど、彼はドキュメンタリーの製作者です。
 原題の"Frustration"(フラストレーション、欲求不満)ってナタリーではなく、どちらかといえばジェークのことだね。パーティーの夜にひとめ惚れして、そのまま一夜を過ごしそうになるんだけど、ナタリーはついアンガスの名前を呼んでしまう。多大なショックを受けたジェークだけど、そのあと、彼女が亡夫の死から立ち直り、なんとか自分を愛してくれるように努力していくわけです。
 まずは忙しくさせようということで、自分の秘書というかアシスタントにして、ブラック企業のごとくこき使う。ただとても面白い仕事なので、ナタリーも日々忙しく過ごし、アンガスのことを考える時間も物理的に少なくなっていく。
 お約束ですけど、彼女はジェークがとても厳しいので、「別の男の名を呼んで、彼の自尊心を傷つけたから、憎まれている」と思っている。たまに欲求不満を爆発させて、小学生並みの意地悪をしたりするので、すれ違いに拍車がかかる。
 ラストがシャーロット・ラムにしては甘めに終わったのが、私としてはちと不満。ほんのちょっとなんだけど、なぜそう思ったのかというと、途中が素晴らしいからなんだよね。
 特にジェークの両親の家に二人で行くエピソードがいい。彼のお母さんは数年前に病気で歩けなくなってしまったんだけど、お父さんが庭にプールを作ってリハビリにも付き添って、今は不自由なく歩けるようになった、という話が。お母さんがナタリーに「あの子はお父さんそっくりだから」としみじみ言うシーンで、ジェークがどれだけ愛情深いかがわかる。
 ナタリーがアンガスの死をようやく乗り越えて思い切るシーンも、とてもよかった。

「アンガスへの愛は終わったのではなく、ちゃんとそれ自身の時と場所に存在し続けているのよ。ジェークに対する愛も、今ここにある。でも、それだからといってアンガスを裏切るものではなく、まったく別の世界の出来事なのよ」

 ジェークへの愛もそうだけど、「自分の人生を再び歩き出す」ということだよね。あまりに衝撃が強くて立ち止まり続けていると、歩き方を忘れてしまうのですよね……。
 ジェークは割と強引に彼女を引っ立たせ、前から引っ張ったり、後ろから押したりしながら歩かせた、ということだね。強引というより、実は不器用なのかもしれない。お母さんが言うには「お父さんそっくりのロマンチスト」らしいからさー。

[1/5追記]
 さっき気がついたけど、ジェークは歩けなくなったナタリーにリハビリを施していたのかもしれないね。お父さんがお母さんを歩けるようにしてあげたみたいに。
(★★★★)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : コンテンポラリー ハーレクイン(文庫含む) ★★★★

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
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