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2016 · 01 · 27 (Wed) 14:59

◆『裁きは終わりぬ』ルーシー・ゴードン

◆『裁きは終わりぬ』ルーシー・ゴードン(ハーレクイン)
 レイは働きながら、学位をとるために夜学へ通っていた。生活費を稼ぐためにエスコートサービスのバイトもしている。その夜の相手は弁護士ジャイルズ・ブレーク。なんという偶然なのか──彼は8年前、法廷でレイの父を容赦なく責めたてた。収監されて三ヶ月で父は死んだ。私は、復讐の機会を与えられたのだろうか。("My Only Love, My Only Hate" by Lucy Gordon, 1986)

 ヒロインのレイ・ボーナムは、父が詐欺と横領で有罪判決を受けたため、現在は本名のタニス・ヘインズを捨てている。ヒーローのジャイルズは、18歳だった彼女に巧みな尋問(具体的には描かれないけど、多分えげつないやり方だったんだろうね(´д`;))をして、父親の有罪を決定づける証言を引き出し、刑も重くしてしまう。
 レイの父は犯罪者なのですが、彼女にとっては最高の父親であったし、母も亡くなっていたからたった一人の家族だったわけです。彼にとってその裁判は、出世とか世間的な注目とか妻や判事であるその父親へのアピールとか、様々な野心の象徴であった。ていうか、それだけのことだった。だからなのか、タニス(レイ)から浴びせられた言葉、

「あなたは人間じゃないわ! わたしはあなたを許さない! いつかきっと仕返ししてやるわ」

 というのが、のちのち彼にダメージを与え続けることになる。
 8年たって、レイは貧乏ながらもそこから自力で這い上がろうと努力できる女性に成長している。ジャイルズは弁護士として出世をして、金持ちでもあるけれど、当時妊娠中だった妻は子供を連れて別の男性と再婚している。その元妻へのあてつけのため、エスコートサービスでとびきりの美人を注文するわけです。
 一緒に行ったパーティーで念願の復讐を果たして、正体を明かしたレイですが、そのあとなぜかしつこくジャイルズがつきまといます。エスコートサービスの客とトラブルになりそうになった時、助けてくれたのはいいけど、尾行していたのがバレてレイに激怒される。
 さらに「学位を取るまでの間、金銭的な援助をする」と言い始めたり、彼女の仕事場に来て上司との関係を悪くしたりと割とトチ狂った行動をとるジャイルズ。
 彼と接するうちにレイの復讐心は消えていく。ここら辺の機微が理解できないわけではないのですが、私には納得しにくいというか……決して雑に処理しているわけではないので、人によるのかも、と思いました。レイの変化はわかるけど、父親が本物の犯罪者であることと、それでも愛していた気持ちを、読者側がどう消化するかだよなあ……。
 後半の盛り上がりというか、父親の存在が二人の関係に影をさす展開はさすがです。元妻のせいで子供たちとの関係が悪くなるばかりのジャイルズに、「そのうち別れないといけないのよね(´・ω・`)」と思いながらも手を貸してあげるレイが切ない。ルーシー・ゴードンのヒーローは、傲慢というか自信満々に見えて不器用、という人が多いね。(あとこの作品は、原題がいい)
 もう少し枚数があって、細やかに書き込まれていたら、もっと感動的になったかも……いや、このままでもいい話なんですけどね。ちょっとひっかかってしまったのは作品のせいではないと思うので、自分に残念です(つД`)。
(★★★☆)

最終更新日 : 2016-01-27

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