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◆『謎めいた訪問者』リー・ウィルキンソン

◆『謎めいた訪問者』リー・ウィルキンソン(ハーレクイン)
 エレノーが婚約者デイヴとともに始めた会社に、資本家のロバート・キャリントンが訪れる。彼が持っている田舎の領主館にしばらく滞在し、IT設備を整えてほしいと言う。仕事に行き詰っていた二人は一も二もなく引き受けるが、田舎が嫌いなデイヴは文句ばかり言い、ろくに仕事もしない。反対にエレノーは、館と取り巻く自然に魅了される。なぜかここに訪れたことがあるような気がする……。("At The Millionaire's Bidding" by Lee Wilkinson, 2003)



 とにかくヒロインがかわいそうなお話でした。
 ヒロインのエレノーは6、7歳頃に交通事故に遭う。同乗者は性別もわからないくらい焼け焦げ、身元もわからない。ニュースに彼女の写真が出ても名乗り上げる人が出てこなかったので、施設へ。それ以前の記憶も事故のせいかなくなっている。
 施設を出てからいっしょうけんめい働いて、自分の店を持つことを夢見てお金を貯めていました。けど、同じ施設出身のイケメンのデイヴに再会し、「結婚しよう」と言われ、自分の店をあきらめてお金を差し出してしまう。なおかつバイトを増やしてまで彼に貢ぐ。
 愛された経験のないエレノーが、このどうしようもない“婚約者”を信じようとするけなげな様子が切ない。デイヴは、彼女のことを当然金づるとしか思っていないわけです。後半、ヒーローのロバートに悪行の数々を暴露されるのですが、不満なのはデイヴ自身は姿をくらましたままということ。最後、ロバート、いやエレノーにギッタギタにされればよかったのに(`Д´)!
 とはいえ、実はもっと腹立つ奴も出てきてね……。優しくて孤独な女の子を食い物にしたデイヴよりも悪い奴なんているのかよ、と思うでしょうが、これがいたのですよ……。こいつにも直接ギャフンと言わせていないのですが、「いや、もう関わらない方がいいよ。歳を取って淋しく死ぬだろうから」と思ってしまって、それとともにデイヴのモヤモヤも一掃された感じです。
 幼い頃のエレノーは、結局周りにまともな大人があまりいなかったのですよね(´・ω・`)。どうも二人くらいしか彼女のことをちゃんと考えている人がいなかった。事故の時にその一人がいなくなり、もう一人はあまり近しい関係でない上に、タイミングも悪かった。彼女が一人ぼっちになってしまうとわかっていたら何かできただろうけれど、そんなの誰もわからないしね。
 なんでヒーローがここまでしてくれたのか、というのを多少頭の中で補完しないといけなかったり、ラストの説明が駆け足になった点などちょっと気になるところはありましたが、久々に「ヒロインが幸せになってよかった(´;ω;`)」と素直に思える作品になっていました。
(★★★★)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : コンテンポラリー ハーレクイン(文庫含む) ★★★★

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
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