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●『美女とスパイ』ジュリー・アン・ロング

●『美女とスパイ』ジュリー・アン・ロング(ソフトバンク文庫)
 何不自由ない生活を送ってきた美しい令嬢スザンナは、父親が死に、実は一文無しと知る。婚約者には去られ、田舎のおばの元に身を寄せるしかない。そこで出会ったのは、自然誌をまとめるためにロンドンからやってきたグランサム子爵キットだった。彼はスザンナの絵の腕を買い、動物や植物の絵を描いてくれと頼む。("Beauty And The Spy" by Julie Anne Long, 2006)



 再読です。
 冒頭に、ヒロイン・スザンナの母親アンナが、愛人で娘たちの父親である政治家リチャード殺害の濡れ衣を着せられ、一人逃亡せざるを得なくなるというエピソードが入ります。リチャードの友人メークピースが娘たちを連れていき──今回は彼の養女になった三姉妹の末っ子スザンナのお話。他の二人のお話も出ているもよう。
 ヒーローのキットは、スザンナよりもかなり年上です。17歳差くらいかな。彼女がちょうど生まれた頃に、親友とキャロラインという女性を巡って決闘し、親友を撃って二人とも軍隊に叩き込まれる、という騒ぎをやらかす。しかも、くだんのキャロラインは横から出てきたモーリーという政治家と逃げてしまう。
 このモーリーとキャロラインのことがずっと気になっているキット。そして、モーリーはリチャードとメークピースの殺害に関わっている、ということで、父親から「田舎で自然誌でもまとめておとなしくしてろ」と言われたのに、いろいろと嗅ぎ回り始める。タイトルどおり、軍隊からスパイになった人なので。
 サクサク読めたのですが、いまいちヒーローヒロインに感情移入ができなかった。ヒロインはいい子です。無一文になって田舎の貧乏なおばさんに引き取られても人のせいにはしないし、「自分の絵で稼げる」と知るとそれをすんなり受け入れる。ショッキングなことがあっても気絶しないし、怖がらない。度胸の据わった女の子です。なのになぜピンと来なかったか(´Д`;)。
 キットの方は、なんとなくわかる。スパイとしていろいろな修羅場を切り抜けた割には、17歳の時からあまり成長していないというか、現実から逃げているというか、過去にこだわり過ぎているみたいなところがあって、そのせいで最後にあっさりキャロラインにだまされる。そのマヌケなところにちょっとガッカリしてしまったんだよね。「だましてる」って読者はよくわかってるから、余計に(´・ω・`)。スレていない人ももちろん好きなんですが、こういう話ではもう少し抜け目ない方がいい。だってスパイだし(゚Д゚)!
 どちらかというとキット中心の話運びであり、スザンナが実際のところそれほど活躍しなかったから、ちょっと微妙になってしまったのかもしれない。強いヒロインにはどんどん動いてもらわないと、もったいないよ!
 けど、姉二人の行方は気になる。続きを手に入れるかー。
(★★★)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : ヒストリカル ソフトバンク文庫 ★★★

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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