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◆『さよならも言えず』シャーロット・ラム

◆『さよならも言えず』シャーロット・ラム(ハーレクイン)
 旅行会社重役アンドリューとともに視察のため、中東のケラヴィという小国を訪れた秘書のクレア。二人は、宿泊しているホテルでドキュメンタリー番組のクルーと知り合いになる。キャスターは誰かとたずねると、背後から「僕です」と声がかかった。振り向いたクレアの顔から血の気が引く。そこには、一年前から別居をしている夫ニックの姿があった。("The Silken Trap" by Charlotte Lamb, 1983)



 あらすじを読んで、「もしかしてシャーロット・ラムのシークもの?」と思いましたが、違った。夫婦の元サヤものです。
 ニュースキャスターであるヒーローのニックは、危険な場所にも飛び込んでいくアドレナリン中毒気味の人。対してヒロイン・クレアは、アドレナリン中毒だった父(カーレーサー)と彼を心配するあまり精神を疲弊させ、父の死後も回復しないまま自殺してしまった母を見て育った人。平穏な家庭生活を送りたいと切に願っている。
 そういう人生を望んでいたはずなのに、どうしてニックと結婚してしまったのか。若いクレアはほとんど勢い。彼のことをよく知らないまま、「愛しているから」と結婚してしまった。ニックは、彼女が自分の仕事を理解してくれないと薄々わかりながら、半ばだますようにして結婚。
 クレアも自分のトラウマは話していないので、「どっちもどっち」感は否めないながらも、ニックの方が卑怯かなあ。二十歳そこそこのクレアを苦もなくだましたとしか言えないよね。
 結婚してすぐに彼が仕事で連絡もできないようなところに飛んでいってしまい、極度の心配でトラウマのスイッチが入ったのか、家を出てしまうクレア。「結婚しちゃえばなんとかなるだろ(゚∀゚)」というニックの思惑は見事に玉砕。
 一年後に中東の小国で会った夫は「もう第一線にいないんだ」とか言いながら、言葉の端々に以前と変わらない主張が読み取れる。実際、そこでクーデターが起こると、当然のように取材のために残るわけです。
 残らないわけにはいかんだろ、と状況的にはわかるんだけど、これじゃいつまでも平行線としか思えない。結局ニックが妥協みたいな感じになって、ハッピーエンドになるんですけど、少しモヤモヤしたものが残った。
 いつまでも現場にいるわけにはいかないし、現場に居続ければいつかそこで死ぬかもしれないし、一線から引いて家庭人としての幸せを望んでももちろんかまわないのですが──それまで心から望んでいたものから離れる人を描く時には、いつも「それでいいの?」と言いたくなる気持ちが湧き上がる。いや、いいんです。現実でだって、選ぶのはその人自身で、どちらに進んでそのあと幸せになるかもその人次第だから、私がどう思おうと関係ない。
 そう、その「私がどう思おうと関係ない」という気分が出てくるところが、モヤモヤするのかもしれないね。そこまでたとえどんなに感情移入していようと、突き放されるから。
 面白かったですけど、割り切れない感情が残ったのも確かです。ディズニーの『わんわん物語』の後味と似ているのよねー。子供の頃からこういう後味のものに惹かれるのも確かなんですけど、結論ははっきり出ない。
(★★★☆)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : コンテンポラリー ハーレクイン(文庫含む) ★★★☆

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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