Top Page › 読書の感想 › さ行の作家 › ●『ため息は愛のはじまり』サリー・マッケンジー

2016 · 04 · 22 (Fri) 14:55

●『ため息は愛のはじまり』サリー・マッケンジー

●『ため息は愛のはじまり』サリー・マッケンジー(フローラブックス)
 フィラデルフィアで生まれ育ったサラは、亡き父の兄である伯爵に会いに英国へやってきた。疲れきって宿屋で眠り、目を覚ますとなぜか知らない男がサラの隣に! 彼はアルヴォード公爵ジェームズと名乗り、彼女の名誉のため、いきなり結婚すると言い出した。("The Naked Duke" by Sally MacKenzie, 2005)

 あらすじだとなんのこっちゃ、という展開ですけど──つまり、アメリカ生まれの孤独な女教師が、英国へ来たとたん、公爵さまに見初められてなんやかんやあったのち結婚、というシンデレラストーリーです。
 前半はとても面白かった。母を幼い頃に亡くし、仕事ばかりの父の面倒を見たり、ケチな校長姉妹にこき使われたりの毎日だったヒロイン・サラが、伯父である伯爵に会いにやってきたのはいいけれど、夜遅くなってしまったので近くの宿屋で寝ていたら、ヒーローである公爵のジェームズが部屋に入り込んでくる。実は双方をこの部屋へ送り込んだのはサラのいとこの現伯爵ロビー(伯父は亡くなっていた)で、ロビーにしてもジェームズにしても、彼女を娼婦だと思っているわけです。
 しかしサラが起きないので、そのまま朝になり、同衾しているのをジェームズの叔母やら友だちに見られてしまう。それで「結婚しよう!」という話になるわけです。
 初めての英国だし、荷物もなくしているし、知り合いも友だちもいないし、いとこだって初対面だし、貴族の生活も何も知らないのに、

「えっ、それで結婚ってどういうこと(;゚д゚)!?」

 と思いっきり戸惑うサラ。通された客用の部屋が「フィラデルフィアの部屋と比べると、少なくとも四倍の広さはある」と畏怖し、「小さくて狭い集合住宅(団地?)にしか住んだことがない」自分との価値観のギャップに耐えられず、すぐに、

「私、公爵夫人になるより、教師の仕事につきたいんですけど(´・ω・`)」

 と言うところがかわいい。アメリカでも孤独だったのに、ここでも本当の意味で彼女のことを思いやる人がいないんだよね。
 そんな彼女をなんとか説得しようと試みるジェームズ──途中からわかってくるんですが、こいつが実はボンクラで(´д`;)。後半になってくるとそれが炸裂して、イライラする展開に。
 こいつだけならまだしも、おそらくこれからシリーズのヒーローになるであろう彼の友だち(サラのいとこ含む)もボンクラなんだよ。お話のもう一つの骨は、ジェームズのキチ入ってるいとこリチャードが、公爵位を奪うためジェームズを殺そうとしたり、サラを襲おうとすることなんだけど、なーんかみんな危機感がなくて。なめてかかって出し抜かれる、みたいな雰囲気が漂い始める。
 そりゃキチな人の発想は常識人の斜め上でしょうけど、読者はリチャードの思惑はわかっているわけですから、「そういうフラグは立てない方がいいのでは(´ω`;)」というツッコミが入らないようにしてくれたらよかったな、と思わずにはいられない。またこのリチャードのキチっぷりが気持ち悪くて、よく書けてたもんだから、ヒーローズのボンクラ度がさらに高まってしまったよ……。
 前半がとても面白かったので、かなり惜しい作品になってしまいました。あと、『あまちゃん』の頃に読めばよかったな、と思った。ヒーローが「じぇじぇじぇ」と言うシーンがあり。
(★★★☆)

最終更新日 : 2016-04-22

Comments







非公開コメント