2016 · 06 · 03 (Fri) 20:53 ✎
▲『夢見る夜の危険な香り』リサ・マリー・ライス(二見文庫)
認知症の父を亡くしたエルは、葬儀の日に5年前から行方がわからなくなっていたニックと再会する。しかし、彼と過ごせた時間はわずかだった。失望したエルは姿を消し、ニックは彼女を失ったことを嘆く。それから10年がたち、ニックはゴースト・オプスの一員として隠れて過ごす日々を送っていたが──。("I Dream Of Danger" by Lisa Marie Rice, 2013)
・〈ゴースト・オプス〉シリーズ第2作
認知症の父を亡くしたエルは、葬儀の日に5年前から行方がわからなくなっていたニックと再会する。しかし、彼と過ごせた時間はわずかだった。失望したエルは姿を消し、ニックは彼女を失ったことを嘆く。それから10年がたち、ニックはゴースト・オプスの一員として隠れて過ごす日々を送っていたが──。("I Dream Of Danger" by Lisa Marie Rice, 2013)
・〈ゴースト・オプス〉シリーズ第2作
リサマリのパラノーマルシリーズです。製薬会社の陰謀を描いています。
元々は最強兵士を作るための薬を作っていて、首謀者である科学者リーは、金を出しているアメリカの製薬会社や軍関係者を出し抜き、その薬を故郷の中国へ持って帰ろうとしている。もちろん中国当局ともつながっているわけですけど、「結果を早く出せ」とせっつかれていて、彼も追い込まれている。
最強兵士と言っても、肉体的な増強だけでなく、超能力も兼ね備えた人間を作り出すための薬を作っているので、やたらめったら人体実験を重ねていて、前作ではそういう施設に囚われているゴースト・オプスの仲間たちを救出するお話だったわけです。今回は、その薬の超能力の部分を研究していた女性がヒロインのエル。彼女自身も、幽体離脱してどこへでも侵入できるという人。
と、こっちのお話の存在感の方が大きい気がします。ただ、ヒーローのニックとエルが10年離れ離れになったいきさつがすごく読ませる。けどこれもロマンスというより、まだ十代だったエルが一人で認知症の父親を5年介護して、精神的経済的にギリギリまで追い詰められている様子の描写の方が非常に痛々しい。父親と彼女の焦燥感、孤独感、無力感がひしひしと伝わってきました。
ニックの存在が薄いというほどではないんだけど、結局彼女が一番つらい時には何もできなかった男って思ってしまった。彼が悪いわけではないとわかっているので、別に腹が立つことはないんだけど、そのせいでロマンスがおまけっぽく見えてしまい、「あ、再会できてよかったね」くらいの印象になってしまった。しかも、途中で物語が大きく変わるんだよ! なんと、ゾンビものみたいな展開になっていくんだよお(;゚д゚)!
そこまで読んで、私、
「あ、この製薬会社は、アンブレラってことなのね」
と思いました。突然『バイオハザード』になっていっちゃうわけです。ものすごく読みやすい上に、とんでもない方向に行っちゃって、しかも全然終わってないところでラストになる!
どうすりゃいいのさ、評価は(´д`;)。これ1作だけ読んでも、全然話わかりませんよ?
流行りというかもはや定番と言えるけど、ついにロマンスにも「ゾンビもの」が──。『高慢と偏見とゾンビ』の映画も秋に公開されるみたいだし、ってちょっと違うかな(´д`;)?
いろいろな意味でけっこう楽しく読めたので、評価は少しおまけ。
[6/5追記]
「ゾンビもの」って厳密には言えないかもしれない──と思ったけど、この展開はどう見ても「ゾンビもの」だよな、と考えた時、ハッとした。
「ニックたちが作り上げたコロニー“ヘイヴン”は、この先あの映画『ゾンビ』のショッピングモールのようになるんじゃ!?(゚д゚)」
おおぅ……その可能性、かなり高そう。やはりこれはゾンビものだな。
(★★★☆)
元々は最強兵士を作るための薬を作っていて、首謀者である科学者リーは、金を出しているアメリカの製薬会社や軍関係者を出し抜き、その薬を故郷の中国へ持って帰ろうとしている。もちろん中国当局ともつながっているわけですけど、「結果を早く出せ」とせっつかれていて、彼も追い込まれている。
最強兵士と言っても、肉体的な増強だけでなく、超能力も兼ね備えた人間を作り出すための薬を作っているので、やたらめったら人体実験を重ねていて、前作ではそういう施設に囚われているゴースト・オプスの仲間たちを救出するお話だったわけです。今回は、その薬の超能力の部分を研究していた女性がヒロインのエル。彼女自身も、幽体離脱してどこへでも侵入できるという人。
と、こっちのお話の存在感の方が大きい気がします。ただ、ヒーローのニックとエルが10年離れ離れになったいきさつがすごく読ませる。けどこれもロマンスというより、まだ十代だったエルが一人で認知症の父親を5年介護して、精神的経済的にギリギリまで追い詰められている様子の描写の方が非常に痛々しい。父親と彼女の焦燥感、孤独感、無力感がひしひしと伝わってきました。
ニックの存在が薄いというほどではないんだけど、結局彼女が一番つらい時には何もできなかった男って思ってしまった。彼が悪いわけではないとわかっているので、別に腹が立つことはないんだけど、そのせいでロマンスがおまけっぽく見えてしまい、「あ、再会できてよかったね」くらいの印象になってしまった。しかも、途中で物語が大きく変わるんだよ! なんと、ゾンビものみたいな展開になっていくんだよお(;゚д゚)!
そこまで読んで、私、
「あ、この製薬会社は、アンブレラってことなのね」
と思いました。突然『バイオハザード』になっていっちゃうわけです。ものすごく読みやすい上に、とんでもない方向に行っちゃって、しかも全然終わってないところでラストになる!
どうすりゃいいのさ、評価は(´д`;)。これ1作だけ読んでも、全然話わかりませんよ?
流行りというかもはや定番と言えるけど、ついにロマンスにも「ゾンビもの」が──。『高慢と偏見とゾンビ』の映画も秋に公開されるみたいだし、ってちょっと違うかな(´д`;)?
いろいろな意味でけっこう楽しく読めたので、評価は少しおまけ。
[6/5追記]
「ゾンビもの」って厳密には言えないかもしれない──と思ったけど、この展開はどう見ても「ゾンビもの」だよな、と考えた時、ハッとした。
「ニックたちが作り上げたコロニー“ヘイヴン”は、この先あの映画『ゾンビ』のショッピングモールのようになるんじゃ!?(゚д゚)」
おおぅ……その可能性、かなり高そう。やはりこれはゾンビものだな。
(★★★☆)
最終更新日 : 2016-06-05