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◆『ダンシング・ラブ』リンダ・ハワード

◆『ダンシング・ラブ』リンダ・ハワード(MIRA文庫)
 名門ブラックストーン家へ嫁ぎ、未亡人となったスーザンは、ある夜のパーティで見知らぬ男を見かける。彼は、14年前に不倫騒ぎを起こし、故郷を追われた亡き夫バンスの従兄コードだった。彼に強烈に惹かれるスーザン。しかしコードは、バンスの母と弟に長年の恨みを訴え、脅迫をする。("Tears Of Renegade" by Linda Howard, 1985)



 これも今月文庫で復刊してました。だいぶ前に買ったきりだったので、それをきっかけに読んでみる。
 ううむ……面白かったんだけど、微妙にモヤる(-ω-;)。それになんだか狙ったようなこの内容。ヒーロー・コードが起こした14年前の不倫騒ぎが、なかなかひどいのですよ。ハマカーンの漫才(動画)風に言うと、こんな感じのお話。

「15歳年上の人妻と不倫し、二人で逃げたあとに彼女を死なせ、故郷に帰ってきて同族会社を乗っ取り、美貌の未亡人を嫁にする、まさにゲスの極み(゚д゚)!」

 人妻ジュディスの旦那も故郷の上流階級の社交界にいるんですよ(再婚してるけど)。鬼畜の所業の上、厚顔無恥(´ω`;)。その旦那がひどい奴とか言うならまだ許せるんだけど、特にそういう説明もなく、妻と単に性格が合わなかっただけらしい。しかも子供も複数いて! ジュディスは当時36歳だったというから、はたちで産んだとしても上の子はまだ十代じゃないですか。大人はさておき、彼女とコードが子供を傷つけたことは火を見るより明らかなのですよ。しかも、ジュディスの家で旦那に見つかったっていうんだから、誰もかばってはくれないと思うのよね……。
 二人は逃げたあと結婚するんだけど、結局離婚の痛手から彼女は立ち直れず、病気に倒れて死んでしまう。しかもコードはその頃、気持ちが冷めてたって言うんだから(゚Д゚)! 別れさせてしまった手前、一緒にいるしかなかったという──。
 なのに、故郷を追い出された時の恨みを晴らすため、ヒロイン・スーザンも経営に入っている同族会社をつぶそうと暗躍するわけです。自分の罪悪感を別方向に八つ当たり、としか。
 いや、不倫を申し開きのできない状態で発見されたんだから、それでいろいろ言われたり、故郷を追い出されたりしても、自業自得ではないのかしらね(´ω`;)? リンチされたり、自殺に追い込まれたりというのならまた別だけど、単にジュディスが悪口を言われた(もちろん何もしなかったら言われないようなこと)だけで、しかもその原因はコード自身にあるんだよね。
 コードは、恋愛とは別の部分でずっと頭はお花畑状態だったんじゃないかな。結局は挫折を知らないお坊ちゃんで、人よりもはるかに優れていた立場からの転落に目を覚めるどころか逆恨みをし続けてしまう。ジュディスこそ、彼に見せないように後悔をしていたんだと思う。別に暴力をふるうわけでも、浮気をくり返すわけでもない、多少面白みが欠けるだけの真面目な旦那を裏切った罪悪感、愛する子供たちから嫌われて会えない絶望感、若い(しつこい)コードを自分から断ち切ることができなかった無力感──彼女の方こそコードを捨てることもできず、だからといって以前のように明るく生きることもできず、緩慢な自殺を選んだ、と言えるのではないか……。
 そういうところに思い至らないコードって、ヒーローなのかなあ、とつい思ってしまった。
「旦那がDV野郎」とか「子供はいなかった」なら、そんなにひどいとは思わないんだけどねえ。どうしてそういうエクスキューズを入れなかったんだろう。だって、不倫なんて自分からしようと思わなければやらないことなんだからね(´・ω・`)。せいぜいが「お互い様」くらいなもので、たいていは当事者同士しか悪くないし、絶対に子供は傷つく。それを棚に上げて、悲劇のヒーローを終始気取ってる男、みたいに見えてねえ。
 とはいえ、これはメインじゃないのです。存在感すごいけど(私にとって)。「それはそれで過去のこと」として、メインのお話は進行していくのですが、こっちは「過去に傷を持つ男」と「見た目よりもずっと強いお嬢さま(未亡人だけど)」のロマンスとして面白く読めました。さすがリンダ・ハワードという感じ。特にヒロインがいい。
 しかし、男の「過去」が思いの外エグくて、読後感に水を差す。ジュディスの子供たちだって近隣に住んでるだろうによお、みたいに思っちゃう。やはり私は、誰かの不幸の上に成り立つハッピーエンドというのにモヤるんだなあ。
(★★★)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : コンテンポラリー MIRA文庫 ★★★

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
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