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2016 · 06 · 28 (Tue) 09:41

◆『海で拾った花嫁』アン・ウィール

◆『海で拾った花嫁』アン・ウィール(ハーレクイン)
 3歳で孤児になり、伯母に引き取られたアーモレルは、南太平洋の孤島で育った。19歳の時、二人の乗ったボートは嵐に遭い、伯母は亡くなり、アーモレルは一人で6週間も海を漂流する。無人島に打ち上げられた彼女を助けてくれたのは、近くを船で通りかかったイギリス人実業家のショルトだった。("The Girl From The Sea" by Anne Weale, 1979)

 これも長年探していた作品でした。今月のハーレクイン・セレクトの新刊。Kindle版は出ていません(まだ?)。
 非常にクラシカルで、なかなか泣ける作品なのですが、古いからかツッコミどころも満載(´∀`;)。
 ヒロインのアーモレル(ゲール語で「海の住人」という意)の造形はとてもいいです。複雑というか、ある意味シンプルながらも、とても孤独な女の子。母親はシングルマザーで、3歳で亡くなってしまう。その後、博物館の学芸員だった独身の伯母(実際は大伯母?)に引き取られ、伯母の定年後の夢だった南海の孤島で暮らす。愛情深いとは言えなかった伯母だけど、教育はしっかり与えられ(学校には行っていない)、頭もいい。浮世離れしていても、自分の意志を持っている女の子。
 助けてくれたヒーローのショルトは、彼女が回復するまで面倒を見て、その後も学校(花嫁学校みたいなとこだけど)に入れてくれて、何くれと面倒を見てくれる。そんな“後見人”の彼を、次第に愛するようになるアーモレル。
 でも、二人の愛や結婚に対する気持ちにはすごくズレがある。
 後半、ヒーローのショルトもアーモレルと結婚しようと思い始めるんだけど、友人(元愛人の女優)から「なんであの子と結婚したいの?」とたずねられてこう答えてる。(アーモレルは盗み聞き)

「あれほどの試練に勝って生き長らえるなんて、よっぽどの勇気と体力の持ち主でなければできないことだ。あの勇気と、不屈の精神とを、ぼくの子供たちの血に伝えたいんだよ。きみの言うように、彼女は美人でもあるしね」

 美しい上に頭もよく、強い精神力と体力の持ち主を妻にすれば、さぞかしかわいくて優秀な子供が生まれるだろう、と期待するのも無理はない。その気持ちはすごくわかる。しかし聞いている方としては面白くない。『氷の伯爵』でも同じようなこと言って「馬選ぶんじゃないんだから(`Д´)!」とヒロインにツッコまれていたヒーローがいましたけど、ショルトは妻を「犬」に例えていた。

「よく訓練された従順な犬の方がいいだろう? この基準は、男性が妻を探すときの条件としても当てはまると思うよ」

 なかなかのドン引き発言。けっこうこの男、万事がこんな感じで(´ω`;)。思うのは自由だし、この当時の男性はこんなことも考えていたんだろうし、今だってそういう人はいるだろう。でも、それをアーモレルや友人とはいえ女性にずけずけ言うのってどうなのよ? 無神経すぎやしませんか? 多分、とがめられたからって気にしないし、そういうことをとがめるような人も身近にいないんだろう。他人がどう思うかなんて全然考えない、自己中心的な人。
 おそらく、アーモレルのことがあって、初めて「人を思いやる」みたいな気持ちに目覚めたと思われる。彼女が伯母や母親から受け継がれた形見を売って、彼へのクリスマスプレゼントを買った時に。海で拾って面倒を見てたのは、お金持ちゆえの善意(ノブリス・オブリージュみたいな)でしかなかったんだよね、きっと。無神経なこと言われると、アーモレルはちゃんと反発するしね。
 この物語は、鼻持ちならない金持ちでしかなかった男が、孤独で純粋な女の子に出会って、人間らしい温かさを知る──というもの……なんだろうけど……惜しいことに、彼の成長の過程がよくわからない(´д`;)。最後の愛の告白が唐突に思えてしまう。言動や行動の微妙な変化をもっと楽しみたかった。「ダメだよ、それじゃまだ思いやり足りないよ(´Д`;)!」みたいにツッコんで、萌えたかった。Σ(゚д゚)ハッ! 「犬」発言の時にアーモレルから「そういうこと言うと犬みたいに噛みついてやるぞ」と言われた時にちょっとその傾向があったのか──いや、あれも「メンゴメンゴ(・ω<)テヘペロ」みたいな感じだったな(-ω-;)。
 ちょっともったいなかったです(´・ω・`)。
(★★★☆)

最終更新日 : 2016-06-28

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