2016 · 07 · 17 (Sun) 15:03 ✎
●『悪魔とワルツを』ロレイン・ヒース(マグノリアロマンス)
公爵の娘キャサリンはある夜、「デビル伯」と呼ばれるクレイボーン伯爵ルークの屋敷に一人で訪ねた。殺人鬼と噂される彼に、ある人物を殺してもらおうと思ったからだ。だが彼は依頼を引き受けず、キャサリンをすげなく追い返す。しばらくのち、ルークは彼女に対しある交換条件を持ちかける。自分が妻にしたい庶民の女性が、貴族社会で引け目を感じないよう教育をしてほしい、それが終わったら君の依頼に応える、と──。("In Bed With The Devil" by Lorraine Heath, 2008)
・〈Scoundrels Of St. James〉シリーズ第1作
公爵の娘キャサリンはある夜、「デビル伯」と呼ばれるクレイボーン伯爵ルークの屋敷に一人で訪ねた。殺人鬼と噂される彼に、ある人物を殺してもらおうと思ったからだ。だが彼は依頼を引き受けず、キャサリンをすげなく追い返す。しばらくのち、ルークは彼女に対しある交換条件を持ちかける。自分が妻にしたい庶民の女性が、貴族社会で引け目を感じないよう教育をしてほしい、それが終わったら君の依頼に応える、と──。("In Bed With The Devil" by Lorraine Heath, 2008)
・〈Scoundrels Of St. James〉シリーズ第1作
MIRA文庫にロレイン・ヒースの『公爵とリトル・ローズ』っていうのがあって、Kindle版を買ったんですけど、つい最近、最初の方を読み始めたんですよね。数ページほどのところで、この『悪魔とワルツを』を本屋さんで見つけたのです。何気なく手に取ってあとがきを読んでみたら、
「本書は四部作の第一作目で、本邦でも紹介された人気作『公爵とリトル・ローズ(MIRA文庫)』の前編の作品の一つです」
とあるではないですか(゚Д゚)!
工エエェェ(´д`)ェェエエ工工と思って、あわててその場で本を買い(Kindle版はなかった)──読み終わったのち、『公爵とリトル・ローズ』の登場人物を確かめたら──『公爵とリトル・ローズ』は、4部作の最後らしいですよ(つД`)。真ん中 つながっているけど別シリーズで、残りのヒーローヒロインもだいたいわかったんですが、超面白そうじゃないですか!
しかし、一〜三作目はこの調子だとかなりダークな雰囲気です。『公爵とリトル・ローズ』とはだいぶ雰囲気違う気が……。
とにかく、二作目が出るのを楽しみにするしかできないのですが──こうなるとほんとに、原書を読むという方法を取るしかないかな、と思っております。訳されていないロレイン・ヒースのシリーズで読みたいのがあるのよね……。ど、どこから始めれば……そして勉強の時間を、どうして捻出すれば……orz
まあ、それは追々考えたい(と言って、また先送りになりそう(´・ω・`))。
気を取り直して、『悪魔とワルツを』の感想です。
前出にもあるように、かなりダークな雰囲気です。ヒーローのルークは伯爵なんですけど、幼い頃に両親を殺され、行方不明になって貧民窟で盗みを働いたりしていたところを祖父に見つけられて、そのまま伯爵を継ぐ。しかし彼としては全然記憶がなく、祖父から問われたことに対して答えてほしそうなことを選択していたら伯爵になっちゃって罪悪感(´・ω・`)、という人。
「殺人鬼」というのは噂の一人歩きですが、殺人を犯したことは確かで、被害者は仲間の少女を陵辱した貴族の男。息子を殺した少年をひと目見ようと牢獄にやってきたのが、前クレイボーン伯爵──ルークの祖父で、つまり自分は叔父を殺していた、というけっこう衝撃的で複雑な設定なんですよね。
このルークの叔父ってのがね……まあ、これ以上は言うまい。何もかも崩壊させる人ってね……一人いるだけでどうしてこう破壊力があるんだろうね……。
ヒロインのキャサリンの事情もなかなか複雑です。自分の親友は公爵家に嫁いだんだけど、彼女がDVを受けているというのがわかる。しかし、女である自分に告発する力はないし、相手は超外面のいい公爵。正攻法では何もできない、子供が無事なうちになんとかしたい、と悩んだあげく、ルークに殺人を依頼する(誰を殺すか、その理由も言わないで)。社交界の噂だけでそのようなことをしてしまったので、当然拒絶されるのですが、のちに交換条件を持ちかけられてそれに乗るわけです。
毎晩のようにレッスンのため、ルークもいる賭博場へ通っているうちに、彼の人となりが見えてくる。貧民窟で身を寄せ合った仲間たちとの絆と「貴族」を偽る自分とのズレに悩んでいることもわかり、心を通わせるようになるのですが──事件は起こってしまうのです。
自分以外の女性を伴侶にしようとがんばるルークを応援、みたいな図式になるんですが、設定からするとそういう選択を彼が取るのもむべなるかな、という……。単に気づいていないということではなくてね。ここら辺は切ない。
そういうがっつりロマンス的な読みどころももちろんあるんですが、私が一番楽しかったのは、DV公爵の行く末だったな。これはぜひ読んで確かめてほしいです。気分的には一番盛り上がったわー。
(★★★★)
「本書は四部作の第一作目で、本邦でも紹介された人気作『公爵とリトル・ローズ(MIRA文庫)』の前編の作品の一つです」
とあるではないですか(゚Д゚)!
工エエェェ(´д`)ェェエエ工工と思って、あわててその場で本を買い(Kindle版はなかった)──読み終わったのち、『公爵とリトル・ローズ』の登場人物を確かめたら──『公爵とリトル・ローズ』は、
しかし、一〜三作目はこの調子だとかなりダークな雰囲気です。『公爵とリトル・ローズ』とはだいぶ雰囲気違う気が……。
とにかく、二作目が出るのを楽しみにするしかできないのですが──こうなるとほんとに、原書を読むという方法を取るしかないかな、と思っております。訳されていないロレイン・ヒースのシリーズで読みたいのがあるのよね……。ど、どこから始めれば……そして勉強の時間を、どうして捻出すれば……orz
まあ、それは追々考えたい(と言って、また先送りになりそう(´・ω・`))。
気を取り直して、『悪魔とワルツを』の感想です。
前出にもあるように、かなりダークな雰囲気です。ヒーローのルークは伯爵なんですけど、幼い頃に両親を殺され、行方不明になって貧民窟で盗みを働いたりしていたところを祖父に見つけられて、そのまま伯爵を継ぐ。しかし彼としては全然記憶がなく、祖父から問われたことに対して答えてほしそうなことを選択していたら伯爵になっちゃって罪悪感(´・ω・`)、という人。
「殺人鬼」というのは噂の一人歩きですが、殺人を犯したことは確かで、被害者は仲間の少女を陵辱した貴族の男。息子を殺した少年をひと目見ようと牢獄にやってきたのが、前クレイボーン伯爵──ルークの祖父で、つまり自分は叔父を殺していた、というけっこう衝撃的で複雑な設定なんですよね。
このルークの叔父ってのがね……まあ、これ以上は言うまい。何もかも崩壊させる人ってね……一人いるだけでどうしてこう破壊力があるんだろうね……。
ヒロインのキャサリンの事情もなかなか複雑です。自分の親友は公爵家に嫁いだんだけど、彼女がDVを受けているというのがわかる。しかし、女である自分に告発する力はないし、相手は超外面のいい公爵。正攻法では何もできない、子供が無事なうちになんとかしたい、と悩んだあげく、ルークに殺人を依頼する(誰を殺すか、その理由も言わないで)。社交界の噂だけでそのようなことをしてしまったので、当然拒絶されるのですが、のちに交換条件を持ちかけられてそれに乗るわけです。
毎晩のようにレッスンのため、ルークもいる賭博場へ通っているうちに、彼の人となりが見えてくる。貧民窟で身を寄せ合った仲間たちとの絆と「貴族」を偽る自分とのズレに悩んでいることもわかり、心を通わせるようになるのですが──事件は起こってしまうのです。
自分以外の女性を伴侶にしようとがんばるルークを応援、みたいな図式になるんですが、設定からするとそういう選択を彼が取るのもむべなるかな、という……。単に気づいていないということではなくてね。ここら辺は切ない。
そういうがっつりロマンス的な読みどころももちろんあるんですが、私が一番楽しかったのは、DV公爵の行く末だったな。これはぜひ読んで確かめてほしいです。気分的には一番盛り上がったわー。
(★★★★)
最終更新日 : 2018-05-21