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2016 · 09 · 16 (Fri) 16:26

▼『真夜中の秘密』リサ・マリー・ライス

▼『真夜中の秘密』リサ・マリー・ライス(扶桑社ロマンス)
 元SEALsのジョーは、退役直前の任務で大怪我を負い、そのリハビリ中に隣へ引っ越してきたイザベルと出会う。彼女の面倒を何くれと見ているうちに彼は回復していくが、心身ともに深く傷ついているらしいイザベルはいまだに立ち直れていないようだ。そんなある日、ジョーの元へ一通のメールが届く。「イザベルを守れ!」と──。("Midnight Secrets" by Lisa Marie Rice, 2015)
・〈ミッドナイト〉シリーズ第6作

 面白いのですが、残念なところもある。
 ロマンスじゃないところが面白いんですよ。ヒロインのイザベルは次期大統領候補と期待されていた人物の娘で、ケネディ家のようなセレブ一族の一員だったのですが、候補の決起集会の夜に襲撃してきたテロリストに家族親族皆殺しにされ、たった一人生き残る。
 しかしテロというのは偽りで、実は彼女の父の親友的立場の上院議員が仕組んだこと。ただ、彼だけが動いたのではなく、他の政府高官も関わっている陰謀の一つとして起こった虐殺事件だったのです。
 その全貌が次第にわかっていく過程が面白かった。悪役そのものは単なる俗物の小物なんだけど、虐殺のシーンがパリの連続テロ事件などを彷彿させて実にいやな気分になりました(ほめたくないけどほめてる)。
 それに比べるとロマンスの部分は──まあ、金太郎飴的で(´∀`;)、安心して読めると言えるんですが、なんだか全体的に説明くさいところが多いなー、と思いまして。シリーズものなので、前5作に配慮しなきゃいけないのはもちろんわかるんだけど、あまり自然じゃない感じがした。あと、すごく気になったのは、ヒーローのジョーがこれから勤める会社(『真夜中の男』ことレンガ社長の会社ですよ)を働いてないのにやたら絶賛しているところ。いや、これは怪我してリハビリしている間も給料払ってくれてるから、そりゃいい会社だろう、と思うのですが、それが何度も出てくるのですよ。「そんなに言わなくてもわかったから(´ω`;)」と言いたくなるほど。
 うーん、なんとなくわかってきたぞ。シリーズの登場人物たちをことさらに「幸せだー!」と強調したり、レンガ社長の会社を「素晴らしいところだー!」とくり返すところを、つい「ウザい」と私は思ってしまったようです。
 シリーズ読んでればだいたいわかるよ、と思うし、勝手に想像した方が楽しいよ、とか思っちゃうんだよね、私……。読んだことない人への配慮というより、シリーズ読者への過剰サービスという気がしないでもありません。
 ここんところのシリーズ三作はちょっと、いいところもあるけどそうじゃないところもけっこうあるという出来上がりになってしまっていて残念な感じ(´・ω・`)。しかし、続きも刊行予定だというし、シリーズの中短編をまとめたものも出るんですってよ(゚д゚)! この中短編集が楽しみだー。すっごく楽しみだー。
(★★★☆)

最終更新日 : 2016-09-21

Comments







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No title

こんにちは!いつも大変楽しく拝見してます♪
リサマリの新作、まだ購入していないのです。白様のおっしゃる通り、前作までがまさに「金太郎飴」で、ちょっと飽き気味だったのです。今回も・・・なのですね。単独で読む分には楽しめるのでしょうが、シリーズを追ってるとつらいものがありますね~。そして毎回「レンガ社長の話が一番!」って思ってしまうのです。いや、リサマリ大好きなんですけど。シリーズものの宿命でしょうか・・・。リサマリがこのシリーズに力を入れているのか、他の毛色の違う作品があるのに売れるからこのシリーズを仕入れる日本の出版社の事情か分かりませんが、私は「闇を駆け抜けて」みたいな話が読みたいです・・・
2016-09-20-17:18

よーこ URL [ 返信 ]

シリーズもの……

>よーこさま
 コメントありがとうございます!
 シリーズのテンプレみたいなのがあって、それに沿って書かれているような感じもなきにしもあらず、でした。
 リサマリって単独作ですごくいいものもありますよねー。シリーズだからでなく、今は彼女自身の名前で買っている人の方が多い気もします。とはいえ、シリーズものの中では一番評判がいいから、というのもあるんでしょうねえ。
2016-09-21-09:37

三原 白 http://miharashiro.blog5.fc2.com/URL [ 返信 * 編集 ]