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◆『捨てられた花嫁』ミシェル・リード

◆『捨てられた花嫁』ミシェル・リード(ハーレクイン文庫)
 大企業の秘書として働くシャーンは、社長の弟で幹部社員のピエーズと恋に落ちた。だが結婚式当日、彼は別の女性とかけおちしてしまう。呆然とするシャーンに、ピエーズの兄レイフは「弟のかわりに、僕と結婚してくれないか?」と言い放つ。("Marriage On The Rebound" by Michelle Reid, 1997)



 今月、お手頃価格の文庫で再販されてたので、読みました(うちにあるのは以前の文庫)。
 種明かしをすると、ヒロイン・シャーンに先に惚れたのは兄でヒーローのレイフの方。それに気づいた弟のピエーズが横からかっさらったという話です。何につけても兄と比較されて当然負けて、恋人マデラインまでがレイフにのぼせるという状況に嫌気がさしたピエーズが、結婚式当日に兄とマデライン両方を絶望させてやると思って計画したもの。シャーンはピエーズに体よく利用されただけです。
 レイフはなんとかピエーズを思い止まらせようとして、マデラインをアメリカから呼び寄せたりするのですが、シャーンは何も気づかず、幸せになることを夢見ている。
 結局、

「お前、いいかげんにしないと殺すぞ(゚Д゚)ゴルァ!!」

 とレイフに脅迫されて、ようやっとピエーズは結婚をやめるんだけど、それが式当日だったもんだから、シャーンは大変なショックを受ける。そんな彼女に、

「弟のかわりに、僕と結婚してくれないか?」

 と言うレイフ。なんとなく流されて、それを承知してしまう。
 割とこういう話ってハーレにあるよね。兄弟、姉妹、あるいは友人同士がライバルにあてつけるための略奪結婚。今回のは寸止めでしたけど、実際に結婚してしまうのも多い。で、のちのち揉める話。
 寸止めの方が結婚しちゃうよりいいんじゃないかと思うけど、当日ってのはひどい。まあでも、来ない彼氏が悪いってのは明らかだよな、と思うんだけど、レイフはなぜかシャーンの体裁にこだわって、

「僕たちが恋に落ちて、それがピエーズにわかってしまった」

 というのを他人への言い訳にする。
 ん? おかしくない(´ω`;)? 共同責任ということだろうけど、招待客からすればシャーンが一番悪いってことにならない? レイフがかばったとしても、彼女の体裁も悪くなることは避けられなくない?
 とにかくレイフはシャーンと結婚したいから、こういう言い訳にして、彼女が冷静な判断ができないうちに結婚してしまうのです。彼女の親代わりの伯父夫妻が結婚式のあとに長期旅行に出る、というのも彼の後押しをする。ピエーズを悪者にして、単に結婚式が中止になっただけじゃ、彼らは旅行を取りやめてシャーンのそばにいてあげようとする。レイフは「そんな親不孝なこと、できないだろう?」みたいなこと言って、シャーンと伯父夫妻ともども「レイフと結婚して幸せになるから」と言いくるめてしまうのです。
 うーん、こうやって書いていくと、ますますモヤモヤしてくる。どうすればもっとうまくできたのか、という方法も思い浮かばない。そもそもピエーズにそんなひがみ根性がなければ、なんの問題もなかったはず。兄と恋人に復讐できたとしても、そこで終わりだよね? 兄の会社に勤めてるのに。今度は自分が復讐される側に回るかもしれない、とは思わなかったんだろうか。
 ──思わないから、こんなバカなことをするんですね(´・ω・`)。なんでこんな頭悪い男に惚れたの?>ヒロイン ヒロインも頭悪く見えちゃうんだよなあ、こういう場合。巧みに隠された悪意に気づかないのは当然だとも思うんですけどね。
 明らかな悪意から関係がこじれるロマンスって、モヤモヤしがちです。ハーレの場合、たいてい周りの人間が優しいし、当の悪役はあっさり改心しがち。この作品では、ピエーズがアメリカへ行ってしまって物理的に離れるから、いくらかすっきりしますが、しっぺ返しがないのでカタルシスはない。
 面白く読めるけど、モヤモヤは解消されず。惜しい。
(★★★☆)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : コンテンポラリー ハーレクイン(文庫含む) ★★★☆

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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