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▼『真夜中の炎』リサ・マリー・ライス

▼『真夜中の炎』リサ・マリー・ライス(扶桑社ロマンス)
 政治系の人気ブログ『エリア8』を運営するジャーナリストのサマーは、親戚である政治家ヘクター・ブレイクの葬儀に出ていた。親しかったわけではない。半年前に起こった“ワシントンDC殺戮事件”の数少ない生き残りだったからだ。彼が生き残ったこと、そしてその死には謎が多く、サマーをそれを解明しようとしているのだ。葬儀が終わり、帰ろうとした彼女は、信じられないものを目にする。“殺戮事件”で死んだと思われていたジャック・デルヴォー──彼は、サマーの初恋の人だった。("Midnight Fire" by Lisa Marie Rice, 2015)
・〈ミッドナイト〉シリーズ第7作



 シリーズ第6作『真夜中の秘密』ヒロイン・イザベルの兄で、元CIA捜査官のジャックがヒーローです。
 最近のスパイ映画では、CIAを悪役や黒幕として使うのが流行ってます。いや、昔からいい方には使われてないか(´ω`;)。最近では、さらに便利な悪役として絶賛使われ中。そして、仮想敵国としては中国ね。しかし、実際は国内の協力者の方がひどいとか大物という、これも流行りのストーリーです。
 今回は、実際のテロ攻撃ではなく、大々的にサイバーテロを仕掛けようとするのが敵側の作戦です。その資金集めのために起こされたのが“ワシントンDC殺戮事件”であるらしい。ラスト近く、敵側はいくつもテロみたいな事件のデマを流し、そしてたまに本当の攻撃もして、米国内を混乱させる。デマに信憑性を与えるためのサイバーな準備を半年間かけてやってたわけです。それが実に地味で(´ω`;)。SNSの架空アカウントを大量に作って、Botだとバレないように半年前から普通の会話をさせ続け、そいつらにデマを流させるというもの。地味だけど、現実でも確実に効果はあるよね……。嘘の情報に世間やマスコミが踊らされている間に、弱点がある電力関係へ強力なサイバー攻撃を仕掛けるというのがテロの本番なのです。
 テロへの段階的な進行が描かれていく部分は面白かった。はっきり言って、そっちの方が書きたかったんじゃないの? という感じにも読めます。だってー、その他のところはなんかモヤモヤした感じなんですもん(´・ω・`)。
 しかし今回一番珍しいのは、ヒーロー・ジャックの設定。SEALsではなくCIAというのも珍しいんですけど、何よりお金持ちのお坊ちゃんでイケメンのモテ男という設定! とはいえ、それは二十代前半くらいまでのことで、CIAの潜入捜査官になってからは、女遊びもせず真面目に働いてきた、俺は変わった──と何度も作中本人がくり返す。なぜかというと、そのモテ男だったハーヴァード大生だった頃、新入生のヒロイン・サマーと再会(子供の頃、ジャックの実家に居候していた)し、一週間ベッドで一緒に過ごしたのに、あっけなく振り、しかも乗り換えた相手は彼女のルームメイトという、典型的クズ男な行動をしてもなんとも思わなかった、という過去があるからです。
 今までリサマリの作品にこんなクズなヒーローはいなかった。まあ、「変わった」というのは本当なんでしょう。“ワシントンDC殺戮事件”で両親や兄弟を目を前で殺されたりして、つらい思いもしている。ただ、作中に「どうしてCIAに入ったのか」って書いてないんだよね。訳者さんが「やはり911がきっかけなんじゃないか」って推測している。アメリカ人にとってそれはくどくどと説明するようなものじゃないのかもしれない。とはいえ、日本人である私個人は、少しくらいあってもよかったんじゃないか、と思ったけどねー。
 割とジャックがサマーに対してだけじゃなく、自分の心の中で延々言い訳を続けているのがおかしかった。たまに本当に恥ずかしくて、消してしまいたいと思う黒歴史を思い出すと「ああーっ(´Д`;)!」叫び出したくなることがありますけど、そんな気持ちをなんとか治めるためなのか、あるいはどうしても止められないのか、とにかく何度も何度もくり返す。「後悔してるのはわかったから(´ω`;)」と言いたくなるくらい。
 しかし、いつもならヒーローの変な思考が面白い方向に転がっていったりするんだけど、今回はあんまり(´・ω・`)……。くり返しが多すぎたかもしれない。全体的にそういう部分が多い。リサマリヒーローらしくヒロインを讃える部分もあるんだけど、そのたび「じゃあ、昔なんで捨てたんだよ?」とツッコミたくなる。もちろん、ASI(レンガ社長の警備会社)が「すげーいい会社なんだぜ!」も何度もくり返される。お前、こないだ初めて知ったばっかの会社だろ!?
 力を入れて書いているところと、力抜いて書いたところのギャップがありすぎる気がしました(´ω`;)。しかもラストがあっけない。いや、サイバー攻撃ですから、そこ狙えば確かにね……そうなんだけどね……。「えっ、これどう収拾つけるのかな(゚д゚)!?」とちょっとワクワクした私の気持ちは……。
(★★★)
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genre : 小説・文学

tag : サスペンス/ミステリ 扶桑社ロマンス ★★★ シリーズ

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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