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●『一夜だけの永遠』ジェニファー・アシュリー

●『一夜だけの永遠』ジェニファー・アシュリー(二見文庫)
 スクラトン伯爵家の長女イザベラとキルモーガン公爵家の三男マックは、会ったその日に駆け落ちをした。だがその結婚生活は、次第にケンカが増え、傷つけ合うようになり、ついにイザベラは別居を決意する。それから三年半──マックの屋敷にイザベラが訪ねてきた。「あなたの名を騙って絵を売っている男がいる」と言いに来たのだ。("Lady Isabella's Scandalous Marriage" by Jennifer Ashley, 2010)
・〈マッケンジー兄弟四部作〉第2作



 前作『はじめての愛を知るとき』は四男イアンの話でしたが、今回のヒーローは三男で画家のマックのお話。
 最初のうちは、どうして彼とヒロイン・イザベラが別居に至ったのかよくわからなかった。二人とも今でもとても愛し合っている。別居しててもマックが別の女性と関係しているわけでもなく、もちろんイザベラもそういうことはない。じゃあなんで? と思っていると、まずはマックが新婚であっても結婚前と変わらない生活を続けたというのがある。不貞を働いたわけではないけど、突然家を空けて絵を描くための旅行へ行ってしまったり、独身時代の友人と遊び歩いたりして、イザベラをほったらかしにする。ケンカが増えると、「俺が家にいると彼女がくつろげない」と思い、さらに家を空ける──という悪循環にはまっていく。
 イザベラの方はまだ若く、駆け落ちをしたことで実家に勘当されてしまうけど、夫との関係に悩みながら、積極的に社交界での居場所を築き上げる。彼を愛しているけど、一緒にいてもつらいばかりで虚しい、という毎日になっていく。
 そして読み進めるうちに、実はマックがイザベラに会う前から「アルコール依存症」だというのがわかってくる。
 この対処を誤るとますますドツボにはまる病気に向き合うことなど、知識のない人にできることではありません(これは現代でもそう)。イザベラの落ち度は若さゆえの未熟さと無知のみ、と言えるでしょう。
 この壊れた結婚生活をどう再生させていくか、というのがメインのお話なのですが、そこにマックの偽物が関わってくる。そっくりな絵を描いて、画商に持ち込んでいる者がいるという──。
 三年半の別居の間にマックは酒を断つことに成功している。アルコール依存症を治療するためには、今も昔も「禁酒」以上のものはないのです。でも、アルコールに溺れるきっかけになった性格というかトラウマのためか、かなり自暴自棄で、偽物に対して「別にいいんじゃない? 自分よりも絵がうまいし」と「どうでもいい」みたいな態度を取る。これが実は、後半波紋を呼ぶわけです。この段階で彼がちゃんとしていれば、イザベラが危険な目にあうことはなかった。このあと、男の行動はどんどんエスカレートしていく。でも、なんかこう、危機感ないんだよねえ。正常性バイアスがかかってんのかね?
 結局のところ、アルコール依存症になったのも、結婚生活が破綻したのも、そして偽物が現れたのも、自尊感情が低い本来の性格を隠そうとして染みついた表面上のこういう性格が災いした、というお話なのですね。
 割とそういう人物像がしっかりと描けていて、そこら辺は読み応えあります。『はじめての愛を知るとき』のイアンは「広汎性発達障害」、そしてマックは「アルコール依存症」と、このシリーズは現在であってもいろいろと大変にならざるをえない状況をヒストリカルで描く、というものなんでしょうかね(´д`;)。
 でも、実はキャラが非常によく描けているせいで、私はちょっとマックにイライラしてしまった。イザベラの信頼を取り戻そうと躍起になっているんだけど、その論理は信頼を損ねた方の身勝手さがあふれる。マイナスからのやり直しという自覚がなく、根拠なく元通りになる、あるいは自分は充分信頼回復の努力をしていると思い込んでいる。「違うんだよ、以前とはまったく違う、新しい『信頼』を作り出すしかないんだよ!」と言いたい。自分が「つらい」と思えばそれが努力とでも思ってんのか(゚Д゚)ゴルァ!! そういう問題じゃないのよね……。でも、話が通じなかったりするんだよね……orz
 最終的にはロマンスらしくドラマチックな展開で、マックがちゃんと話のわかる男になってハッピーエンドなんですけど、そこに行き着くまでがリアルすぎて、ちょっと腹立ったりもしたなあ……。ロマンス的な腹立たしさではなく、リアルダメ男の主張にうんざりみたいになったのが残念(´・ω・`)。
(★★★☆)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : ヒストリカル 二見文庫 ★★★☆ シリーズ

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
    ★★★★からがおすすめです。
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