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2017 · 02 · 21 (Tue) 09:12

△『死者の短剣 地平線』ロイス・マクマスター・ビジョルド

△『死者の短剣 地平線』ロイス・マクマスター・ビジョルド(創元推理文庫)
 地の民へも医術を施したい、と望む湖の民ダグは、駐留地《新月湖》に基礎継ぎの匠がいると知る。彼は、地の民である妻フォーンを連れて駐留地を訪れ、アルカディ匠に弟子入りを申し入れる。("The Sharing Knife : Horizon" by Lois McMaster Bujold, 2009)
・〈死者の短剣〉シリーズ第4作

 ロイス・マクマスター・ビジョルドの異世界ファンタジーシリーズの第4作、最終巻です。1作目『〜惑わし』を読んだのは、もう7年前か!
 実はだいぶ前の方を忘れていたのですが(´・ω・`)、それでも面白かった。途中でこれまでのことをちゃんと説明してくれるし、「死者の短剣」についてや世界観などはあとがきで訳者さんが解説してくれています。
 今回もダグとフォーンはずっと旅をしています。結局このお話は、ロードノベルだったんだな。
 途中で少し滞在する駐留地で、医術の匠に弟子入りしたダグをフォーンもお手伝いするんだけど、そのシーンを想像してたら、どうしてもブラック・ジャックとピノコに思えてしょうがなかった。傲慢じゃないけど頑固なブラック・ジャックと少し大きめなピノコ。
 この夫婦はこんな感じで相変わらずほのぼのラブラブなんですが、後半になってくるとバキバキハッピーエンドフラグが折られまくるのがつらかった……。ロマンス小説じゃないですから、最後夫婦のどっちかが死ぬというラストだってないわけじゃない──と常に震え上がりながら読みました(´;ω;`)。後半に出てくる悪鬼、めっちゃ強い。それを湖の民がいない状態で、しかも三人しかいないのに倒さなきゃならない、という状況が特に怖かった……。
 けど、安心して! ちゃんとハッピーエンドだから(゚д゚)!
 ほっとしました……。
 ダグとフォーンの出会いとその旅は、いろいろなところで様々な影響を与えながら、主にダグの手探りの迷いも仲間の助けを得て、なんとか結論が出るわけです。この最終巻自体、8年前のものだけど、分裂している世界というか人同士がなんとか理解しあえないか、あるいはそこまで行かなくとも、「悪鬼」という世界共通の脅威を通して利害関係を築けないか、という方法を模索するお話なんですよね。
 ダグは言う。

「世界はかなり大きな海だよ。おれたちの旅では、世界のほんのひとかけらを見たにすぎないのさ。(中略)だけどこれは出発点だ。それに今回は、おれたちの石はさざ波を起こすだろうよ」

 始まりは小さな波でしかなくても、それが希望の光になる、と思うしかないんだよな、と改めて思えるラストでした。ああ、なんか今の御時世にも……いつの世も変わらない。何度くりかえせば、人間は同じことをしないようになるんですかね(´・ω・`)。
(★★★★)

最終更新日 : 2017-02-21

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