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◆『春の妖精』シャーロット・ラム

◆『春の妖精』シャーロット・ラム(ハーレクイン)
 祖父の代から銀行を経営するジェームズは、公私共に充実した毎日を送っていた。だがある日、ペイシェンス・カービーという女性から「うちの下宿屋に、あなたの母親がいる。会いに来て」と言われ、動揺する。小さい頃に駆け落ちして家を出た母に会うなんて──しかしジェームズが拒否しても、ペイシェンスは食い下がる。("An Excellent Wife?" by Charlotte Lamb, 1998)



 邦題のとおり、かわいらしいお話でした。
 10歳の時に母に家出され、父の言うことだけを信じてきたヒーロー、ジェームズ。35歳の現在、亡くなった父のあとを継いで銀行を経営し、美しさも社交的にも申し分ない女性とつきあっている。このまま結婚して、セレブな生活をしていくんだろうな、と思っていたところにヒロインのペイシェンスが嵐のように現れる。「うちに来て、お母さんに会いなさい(`・ω・´)!」としつこく言う彼女に、「(゚д゚)ハァ? 何言ってんのこいつ?」と猛反発する。
 子供の頃に母に「捨てられた」と思うのは、かなりつらい経験でしょう。実際にジェームズはずっと引きずっている。母を恨んでいるけれども、ペイシェンスと話しているうちに、「父は自分に対して何もしてくれなかった」と思い出す。母をなくした息子のケアもせず、世話は親戚や使用人にまかせきり。離婚のいきさつなど何も言わずに死んでしまっている。確かに家出された方ではありますが、冷たい家庭生活になった原因は彼でありましょう。
 母も、子を置いて男と家出をする、というのは申し開きのできないことではあるが、一人ではおそらく息子を養いきれないし、連れて逃げたら二度と会うことが叶わないほど追い詰められる、とわかっていたはず。自分自身がギリギリになったところで現れた逃げるきっかけ、ということだったんでしょう。息子と一緒に貧乏暮らしをするか、寂しい思いをさせても何不自由ない生活や高い教育を与えてやるか──結局、母は後者を選ぶ。
 こういう状況は人によっては地雷かもしれないですけれど、ジェームズの思い出の中の母は温かく優しい人だったし、父親が息子に何も説明しないというのは卑怯です。
 そこら辺を納得してくると、ジェームズの母に対する態度がやわらいでいきます。元々の性質は父ではなく母の方にあったようで、ペイシェンスの家にいる彼女の幼い弟妹たちに気遣いを見せたり、下宿人たちも含めたにぎやかな夕食を楽しんだり、と次第に優しさを取り戻していく。
 しかし、ペイシェンスは自分よりもだいぶ若い(23歳)し、初めての恋にどうしたらいいかわからず、彼女と同年代の男友だちを殴ったり殴られたり、周囲の人間に生温かく見守られたり、別れようとしたガールフレンドが執拗に迫ってきたり。今まで避けていたことや知らなかったことがいっぺんにやってきて右往左往。
 そんなワタワタするジェームズは見ていて微笑ましく、ほのぼのした読後感でした(´∀ `)。
(★★★★)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : コンテンポラリー ハーレクイン(文庫含む) ★★★★

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
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