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◆『ダンカンの花嫁』リンダ・ハワード

◆『ダンカンの花嫁』リンダ・ハワード(MIRA文庫)
 リース・ダンカンは、七年前の離婚で牧場に壊滅的な打撃を与えられた。牧場はなんとか持ち直してきたが、彼はやはり家族が欲しかった。今回の結婚には情熱などいらない。常識的で子供好きな働き者の女性であればいい。理性的に妻を選ぶため、リースはモンタナの地方紙に花嫁募集広告を出した。それに目を止めたのは、ニューヨークに住むマデリン。二人は会った瞬間に火花が散った。でも、そんな理由で結婚をするわけにはいかないのだ──。("Duncan's Bride" by Linda Howard, 1990)



 ものすごく久しぶりの再読です。関連作『誘惑の湖』の感想を書いたのって2009年!? ええーっ(´Д`;)!
 いや、それは当たり前なのです。このブログを開設したのは2008年の年末なので、この作品を読んだのはその前。もう10年近く前になるのか。ということは、来年はブログ開設10周年──いや、何かするわけでもないのですけど。
 それはさておき。
 やっぱり面白いです。ロマサスとかでないリンダ・ハワードのロマンスの傑作の一つ。今でもKindleで読めます。
 この作品の一番の読みどころは、ヒロインのマデリンです。ニューヨークで継兄の経営する会社で閑職についているお嬢さんなのですが、怠け者ではない。華奢で飄々とした雰囲気にもかかわらず、決めたことは覆さない頑固さがある。当たりがとても柔らかいのに、いつの間にか言いくるめられている、という高いコミュニケーション能力を持つ。今は特にやりたいこともなく、野心もないけれど、温かい家族は持ちたいと思っている。そんな時に、友だちの実家から送られてきた新聞の広告を目にする。
 新聞広告で結婚相手を探す、というのは、まるでヒストリカルみたい、と思った。1990年の日本だとなんだろう? 日本にもあるような集団見合いのことも本文の中に書かれているし、昔ながらのお見合いというシステムが廃れてきた頃ではある。今だとネットやSNSで婚活を公言して出会うとかかなあ。
 まあ、けど出会いなんてきっかけにすぎない。いくら釣り書が立派でも幸せになれるとは限らないんだから。マデリンはそういうものより自分の直感を信じて、ヒーローのリースに会いに行きます。そして、会った瞬間にお互いひと目惚れ。ここら辺はさすがロマンス(´∀ `)。そしてもちろん、リースの方は頑なに「情熱なんていらん(゚Д゚)」と思っているのです。
 それは若さゆえの情熱にまかせて結婚してしまった前の妻との離婚でさんざんな目に合ったからなのですが、かなりひどい上にそれからの七年間も過酷なので、「そりゃそういう考えになるのも無理ない(´ω`;)」と思える。「その程度のことで関係ないヒロインを責めるなよ」みたいな甘っちょろい女性不信ヒーローとは違う。
 前妻のエイプリルは、牧場暮らしに合わなくて逃げ出し、財産の半分を要求して裁判でそれが認められてしまう。しかも「現金で寄こせ」と言ったもんだから、リースは金策に奔走し、土地や牛を売り、雇っていた人もいなくなってしまった。それでも亡き両親から受け継いだ牧場を守るために、一人だけで七年間牧場を切り盛りして、ようやく黒字が出ようというところまで持ち直したわけです。それで「そろそろ結婚して子供がほしい」と思ったんだよね。
 マデリンと結婚してから二人で牧場の仕事をやるんだけど、二人でやっても過酷で、しかも危険なことも多い。「これをたった一人でやってたの!?(゚Д゚)」と思いますよ。だって何かあっても助けてくれる隣人は30キロ先にしかいないし、家畜の世話は一日と休むことはできないし、冬はマイナス30度にもなるって! 家族も相談相手もおらず、金欠で常にギスギスしながら、ただただ七年間一人で働き続けたなんて、「よくぞ精神崩壊せず、ましてや死にもせずにやってこられたな(´;ω;`)」としか思えない。
 それくらい苦労をした人なので、頑なな態度の裏には彼自身の苦しみや悲しみ、くやしさが見える。キャラクターとしての説得力があるんだよね。
 そして、もう一つ特筆すべきは、マデリンが何度もリースにこんなことを言うところ。

「私はエイプリルじゃないんだから、彼女の尻拭いを私にさせるのはやめて!」

 今まで何人のロマンスのヒーローが、ダメな前妻や元カノとヒロインを同化させて責め、なじり、苛んだか。そして、それを我慢しちゃうヒロインが、なんと大量にいたことか。今でも減らないやんけ(゚Д゚)ゴルァ!!
 しかしマデリンは、彼を愛しているからこそ、はっきり何度も何度も言う。でもリースの傷も深いので、彼女がエイプリルのようなひどいことをしない人だと信じることがなかなかできない。
 ラスト近く、マデリンが最後の手段として家出をするんだけど、ここからがまた面白い。ここはぜひ読んで楽しんでほしいな。笑えますよー。
 マデリン、軽妙なのに、やはりリンダ・ハワードのヒロインらしくとても強いのです。彼女がアメとムチを駆使しながら、果敢にリースの頑なな心に挑んでいく様、ものすごく魅力的でした!
(★★★★☆)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : コンテンポラリー MIRA文庫 ★★★★☆

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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