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▽『刑事マルティン・ベック バルコニーの男』マイ・シューヴァル、ペール・ヴァールー

▽『刑事マルティン・ベック バルコニーの男』マイ・シューヴァル、ペール・ヴァールー(角川e文庫)
 ストックホルムの公園で、八歳の少女の遺体が発見された。二日後、やはり同世代の少女が殺される。子を持つ市民たちは恐怖に打ち震え、警察の必死の捜査にも手がかりは浮かばない。マルティン・ベックはようやく目撃者を見つけだすが、それはわずか三歳の少年と、事件の夜、強盗をはたらいた男だけだった。("Mannen Pa Balkongen" by Maj Sjowall & Per Wahloo, 1967)
・〈刑事マルティン・ベック〉シリーズ第3作

 あけましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願いいたします。

 ……もう1/4ですけれど(´・ω・`)。だいぶ出遅れました。今年はブログ開設10周年だというのに!
 これからを象徴するような出足ですが、気にせず、マイペースにゆるく更新していきたいと思っております。よければまたおつきあいください。



 今年最初の更新がまた、ロマンスでもなく、なおかつ正月にもあまり似つかわしくない殺伐とした作品ですみません(´Д`;)。面白かったんだけどね。
 しかしこれを読めば、読みたいのにずっと自炊して温存していたシリーズ第4作『笑う警官』が読める! ということで、発売してすぐに読んだのでした。
 少女連続暴行殺人事件という卑劣な犯行の物語です。殺害されるのが十歳前後の少女たちなのでよりセンセーショナルですが、犯人はつまり快楽殺人者であると思われる。「思われる」というのも、実は物語が終わって、犯人はもちろんつかまるんですが、犯行のきっかけというのはよくわからないまま終わるんですよね。
 しかし、この作品に最初に登場するのは、犯人なんです。ものすごいネタバレしているようにも思いますが、「それ以外どう読めと(゚Д゚)」という書き方なので──って、ここはネタバレブログだったんだわ(´ω`;)。いや、タイトルがすでにネタバレですよ。だって描かれるのはまさに「バルコニーの男」なんだもの。
 最初に犯人(らしき人)が出てくるので、これは倒叙ミステリなのかしら、と思ったんですが、犯行がどう行われたのか、というのは読者も主人公マルティン・ベックとともに知るしかない。犯人がどんな名前で、歳がいくつで、なんの仕事をしていて、とか基本的なことは一つもわからない。書かれているのは、ただ彼がバルコニーから下を見下ろしていて、特に少女に注目している、ということだけ。
 そしてここがすごいと思ったところなのですが、その犯人の男、次に出てくるのは最後の数ページだけなのです。最初と最後の数ページに、強烈な印象を残す。最後にわかっていることも、彼の名前と経歴、少女たちを暴行して殺した、という事実くらい。動機もわからないし、彼の内面に踏み込むこともない。怖いのは、最初の少女を殺すまで、彼には犯罪歴もないし、そんなことをしそうもない人間だったということ。
 ラストまで読んで、去年起こった座間の連続殺人事件を思い出しました。わずか二ヶ月の間に九人もの人を殺害したというもの。何かが一気に噴出したかのように殺人を続けたこの事件と重なって、さらに怖くなった。
 おそらく、この「バルコニーの男」は、「楽しい」と思うことが今までなかったんだけど、ある時殺人を「楽しい」と思ってしまったのかな、という──かろうじて踏みとどまっていたところから一気に転落していくというのは、こういうものなのか、と思いました。
 ラスト、パトロール警官に尋問されて捕まるシーンで、犯人はこう言っている。

「そうしなければならなかったから」

 自分では止められない何かがあったようなことを言う。人ごとにも聞こえるかもしれないが、逃げることもしない。してはいけないのに「しなければならない」ことをやる男がそれをやめるためには、人の手を借りるしかない。
 わずか数ページ、数行のセリフで、快楽殺人者の不気味さとその異様さ、その心理を見事に描いていて舌を巻きました。犯罪者の描き方が、ほんとに普遍的で、悲しいくらい今も同じです……。
(★★★★)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : ロマンス以外 角川文庫 ★★★★ シリーズ

No title

今年で10周年なんですね!多分私は平成21年か22年ごろから読ませていただいてます。本選びにすごく参考にさせてもらってます!映画の感想も面白いし、「そうそう!その通り!」なんて思いながら読んでいます。これからも頑張ってくださいね。なかなかコメントできませんが楽しみに読んでますので。

よろしくお願いしますー

>misakiさま
 コメントありがとうございます!
 おお、だいぶ初期からいらしていただいているのですね、これまたありがとうございます!(´Д`*)
 昔と比べると更新速度は落ちておりますが、読みたい見たい気持ちはまだ途絶える気配はないので、ずっと続けていきたいと思っております。
 今年もよろしくお願いいたしますー!

ごめんなさい

 すみません、misakiさんのお名前のつづりを間違えておりました。申し訳ありません。
 訂正させていただきました。
 これに懲りずに遊びにいらしてくださいませ──。
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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
    ★★★★からがおすすめです。
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