2018 · 03 · 07 (Wed) 15:02 ✎
◆『石の都に眠れ』リンダ・ハワード(二見文庫)
亡き父のあとを継いで考古学者になったジリアンは、父が残した文献からアマゾン奥地に未知の部族の都市──石の都があることを発見する。それを立証するため、アマゾン川を上る。同行するのは兄のリック、資金を調達したケイツ、そしてガイドを務めるベン。石の都には秘宝があるという。リックたちはそれを狙っているらしいが──。("Heart Of Fire" by Linda Howard, 1993)
亡き父のあとを継いで考古学者になったジリアンは、父が残した文献からアマゾン奥地に未知の部族の都市──石の都があることを発見する。それを立証するため、アマゾン川を上る。同行するのは兄のリック、資金を調達したケイツ、そしてガイドを務めるベン。石の都には秘宝があるという。リックたちはそれを狙っているらしいが──。("Heart Of Fire" by Linda Howard, 1993)
再読です。というか、『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』のノベライズを読んでからずーっと読み直そうとしていて、なんと4年もかかっちゃったよ(´ω`;)。
アマゾン奥地にあると言われる「石の都」に取り憑かれ、学会からは異端児として笑われ、鼻つまみ者として亡くなった父の無念を晴らすため、そしてその娘として偏見の目で見られる自分の立場を打開しようとヒロインのジリアンは未開の森へと分け入ります。兄のリックとは元々仲がよくなく(父がジリアンをひいきした)、しかも頭もあまりよくない。ケイツはそれを利用して秘宝を横取りしようと殺し屋ドゥトラも同行させる。
ヒーローであるガイドのベンはちゃらんぽらんのように見えて切れる男なので、彼らの思惑を見抜きジリアンに警告しますが、そんなのは彼女は百も承知なのです。とにかく金を出してもらわなければ調査には行けないのだから、出し抜かれないための準備は怠らないし、過酷な考古学調査の場数も踏んでいるので、ちょっとやそっとでは驚かない度胸の持ち主です。
とにかくこのジリアンの気風のよさと賢さが面白さの肝なのです。リンダ・ハワードは強いヒロインの引き出しが多彩ですけど、ジリアンは割と正統派。「女だてらに」とか「男前」とか最近は言いにくい風潮ですけど、そういう人。調査隊の中で女性は一人だし、彼女よりも強靭な男ばかりなのですが、一つも負けていないし、自分のスペックを熟知して自らを守れる人です。
ベンはそういう彼女に惚れてしまい、密かに(いや、けっこうあからさまなのですが、ジリアンは「ポーズ」だと思っている)守っていくのですが、石の都にたどり着き(ちゃんと見つかる!)、秘宝を巡る立場の違いから行き違いが起きていく。
前半はアマゾン川上りの過酷さやジリアンとベンの静かなる攻防が読みどころ。後半はジャングルをどう逃げ抜くか、という見せ場があります。
『ロマンシング・ストーン』を今見る(読む)と、「昔とは印象違うなー」とつい思ってしまいますが、この作品の印象は変わらない。宿無しという雰囲気の男ベンが、初めて自分の居場所をジリアンに見出す──というか、「やっと俺の飼い主が見つかったーっ(´Д`;)」って感じで子犬のように追いかけていく様がとてもよかったです。ジリアンを守る様子は、まさに大型わんこが牙をむき出しているみたい。でも叱られるとしょんぼりしたり、すねたり。とはいえ、かまわれるとすぐに機嫌を直す。素直で扱いやすい男ですな(´∀ ` ;)。
(★★★★)
アマゾン奥地にあると言われる「石の都」に取り憑かれ、学会からは異端児として笑われ、鼻つまみ者として亡くなった父の無念を晴らすため、そしてその娘として偏見の目で見られる自分の立場を打開しようとヒロインのジリアンは未開の森へと分け入ります。兄のリックとは元々仲がよくなく(父がジリアンをひいきした)、しかも頭もあまりよくない。ケイツはそれを利用して秘宝を横取りしようと殺し屋ドゥトラも同行させる。
ヒーローであるガイドのベンはちゃらんぽらんのように見えて切れる男なので、彼らの思惑を見抜きジリアンに警告しますが、そんなのは彼女は百も承知なのです。とにかく金を出してもらわなければ調査には行けないのだから、出し抜かれないための準備は怠らないし、過酷な考古学調査の場数も踏んでいるので、ちょっとやそっとでは驚かない度胸の持ち主です。
とにかくこのジリアンの気風のよさと賢さが面白さの肝なのです。リンダ・ハワードは強いヒロインの引き出しが多彩ですけど、ジリアンは割と正統派。「女だてらに」とか「男前」とか最近は言いにくい風潮ですけど、そういう人。調査隊の中で女性は一人だし、彼女よりも強靭な男ばかりなのですが、一つも負けていないし、自分のスペックを熟知して自らを守れる人です。
ベンはそういう彼女に惚れてしまい、密かに(いや、けっこうあからさまなのですが、ジリアンは「ポーズ」だと思っている)守っていくのですが、石の都にたどり着き(ちゃんと見つかる!)、秘宝を巡る立場の違いから行き違いが起きていく。
前半はアマゾン川上りの過酷さやジリアンとベンの静かなる攻防が読みどころ。後半はジャングルをどう逃げ抜くか、という見せ場があります。
『ロマンシング・ストーン』を今見る(読む)と、「昔とは印象違うなー」とつい思ってしまいますが、この作品の印象は変わらない。宿無しという雰囲気の男ベンが、初めて自分の居場所をジリアンに見出す──というか、「やっと俺の飼い主が見つかったーっ(´Д`;)」って感じで子犬のように追いかけていく様がとてもよかったです。ジリアンを守る様子は、まさに大型わんこが牙をむき出しているみたい。でも叱られるとしょんぼりしたり、すねたり。とはいえ、かまわれるとすぐに機嫌を直す。素直で扱いやすい男ですな(´∀ ` ;)。
(★★★★)
最終更新日 : 2018-03-07
黄金期!
>しなもんさま90年代はリンダ・ハワードの黄金期ですよねー。傑作ぞろい(´д`*)。
最近のリンダ・ハワードのはとんとごぶさたです。けど、まだ積読のもあるんですよ(´∀ ` ;)。読みたい本を全部読めるかな、という段階になってきたですよ!
三原 白 http://miharashiro.blog5.fc2.com/URL [ 返信 * 編集 ]
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