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◆『クレタの聖像』シャーロット・ラム

◆『クレタの聖像』シャーロット・ラム(ハーレクイン)
 ギリシア人実業家アレックスが経営するレフカス商会ロンドン支社に勤めていたソフィは、ひょんなことからアレックスの母の秘書としてクレタ島で働くことになった。母の元に訪れるアレックスはソフィを口説き落とそうとするが、彼女には誰にも言えない秘密の恋人の存在があった。("Savage Surrender" by Charlotte Lamb, 1983)



 名作と言われている作品ですが、なるほど、昔のハーレなら常識であった描写たっぷりです(´ω`;)。
 面白かったのですが、ラストは少し失速感があって、ちょっと残念。その面白さもロマンスとしてより、ヒーローのアレックスの暴走ぶりというか、狂いっぷりなんですよね。横溝正史の『獄門島』を読んだ時以来の「気違い」の連発です。何しろ、母親にすら言われるくらいなんだから! そんな奴をヒーローにしていいの!?(;゚д゚)
 とにかく、ひとことで言うなら「ヤバい奴」なのです。この間見た『シェイプ・オブ・ウォーター』の悪役ストリックランドみたいな人。でも、この人も映画の中では「成功者」として描写されているんだよね。時代は少しズレているけれど、長い間──はっきり言ってつい最近まで、こういう人が「魅力的」であり、それゆえ世間から許されてきたとよくわかる。
 アレックスはとにかく最初からセクハラパワハラをかましまくり(「ママンの財産狙いだろ(゚Д゚)ゴルァ!!」みたいな決めつけも言う)、クレタに来れば母の目を盗んで口説いたり怒鳴りつけたりして、美しいヒロインのソフィを愛人にしようと躍起になるわけです。最終的にヒロインが好きになってくれたからいいようなものを、これがほんと全然その気がなかったら恐ろしい状況ですよ。

「女性なんてちょっとちょっかいかければすぐにこっちの言いなりだし、真面目なつきあいなんかする気になんないもんね〜。結婚しなきゃいけなくなったら、ママンが決めてくれた子とするし〜」

 みたいなことを臆面もなく言うわけです。あきれるヒロインだけど、そのママンはとてもいい人で、仕事もクレタ島での生活も気に入っている(祖母がギリシア人だったそうで)。なんとかやり過ごしていたけれど、秘密の恋人のことをアレックスに知られ、彼の暴走にますます燃料を注ぐことになってしまう。
 秘密の恋人というか、いとこと結婚している男性とずっと思い合っているのですよね。キスくらいしかしていないけど。その人は、離婚をすると妻に子供を取られてしまいそうなので、別れることもままならない(うまくやれば大丈夫そうですけど、やはり時代が違うのでしょう)。それを知ったアレックスは、とにかくその男性からソフィを奪い取るため、むりやり結婚せざるを得ない状況に彼女を追いやります。
 こんな人がヒーローとは──と思いますけれど、ある意味エクスキューズが設けられていると言える。それが「気違い」という言葉です。「恋に狂っている」という意味もあるんでしょうけれど、恋とは関係なく「狂った人」であったんじゃないですかね。だってかなりひどいよ(´・ω・`)。一番「やな奴だな」と思ったのは、ソフィの「恋人」について、ある男性に対し「あいつか(#゚Д゚)!」みたいに彼女にたずねて、当の男性の顔がちょっと冴えなかったら、

「心配させられちゃったよ」

 と笑うシーン。なんと底の浅い見方をするものか。不細工だからって安心してんじゃねえぞ(゚Д゚)ゴルァ!! と思わずにはいられなかったよ。(私も失礼)
 これを「典型的なギリシアの男」って言ったら、ほんとギリシアの人怒るんじゃないかしら。ママン曰く「女を低く見ているし、特にわたしは、年寄りだから馬鹿だと思っているわ」なんて──いや、そう育てたのは、この人なんですけどね(´ω`;)。
 ラストが失速、と言いましたけど、はっきり言って都合のいいラストなんですよね。ソフィが許してしまうとか、割れ鍋に綴じ蓋というより、二人とも今までのことは「なかったことにしてしまった」ようなラストでね──まるで別人のお話みたいな。それまでの葛藤のはけ口がないまま終わってしまったようで、私はちょっと不満でした……。
(★★★☆)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : コンテンポラリー ハーレクイン(文庫含む) ★★★☆

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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