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2018 · 03 · 30 (Fri) 20:10

◆『聖夜に、あと一度だけ』シャノン・マッケナ

◆『聖夜に、あと一度だけ』シャノン・マッケナ(ヴィレッジブックス)
 アニーは一緒に暮らしていた男から逃れ、おんぼろトラックでルイジアナのカジノを目指していた。数年前にそこで大当たりした最後の一ドル硬貨を数枚持って。これを使えば、もう一度、大当たりできるはず。だけど今気になるのは、ずっとついてくるバイクに乗ったあの男だ。("Something Wild" by Shannon McKenna, 2001)
・アンソロジー『キス・キス・キス 聖夜に、あと一度だけ』

 ヒロインのアニーは、五年前カジノで大当たりを引き当て、そのお金でニューヨークに出たのはいいけれど、つきあったDV男のせいでボロボロになり、ようやく最低限のものだけ持って逃げだした、という設定です。ヒーローのジェイコブはたまたま見かけた彼女にひと目惚れして、女ひとり旅の心配からずっとついてくる、というお話。
 なかなか危うい話だ(´ω`;)。ロマンスだから、アニーはもちろんジェイコブに惹かれるんですが、なんとも思ってなかったらほんと恐ろしい。ほとんどホラーの設定ではないか──と思う根拠は、私が『激突!』(映画も原作も)が好きだからです。行きずりの男女の話はいくつもありますけど、アメリカのひと気も何もない田舎を走り抜けていくハイウェイだとより恐怖が増すのは、『悪魔のいけにえ』が頭にあるせいだな……。助けを求めても誰もいない、逃げられても身一つで放り出されて何もない、という怖さもある。
 そんな感じで、ロマンスだとわかっているのに、漠然とした恐怖が拭えないまま読み進めてしまいました。途中で思いどおりにならないアニーに対してジェイコブが腹を立て、加虐的になるのも気になる。DV被害者の女性に対してこれはどうなの? とちょっと考えてしまった。エロティックホラーだったら実に怖くていい展開だと思うけど、けっこうエグいな(-ω-;)。
 ラストはもちろんハッピーエンドなのですが、私個人としては「そこだけロマンスな感じで終わられても」と思ってしまった(´ω`;)。
 この作品、シャノン・マッケナ名義でのデビュー作なのだそうです。なるほど。ちょっと拙いのはそういうことなのね……。多分、今のシャノン・マッケナが書けば全然違う雰囲気になるんだろうな。
 面白いとかつまんない以前に、どう考えてもちゃんと読めていないので、評価はこのあたりで。
(★★★)

最終更新日 : 2018-03-30

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