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2018 · 05 · 16 (Wed) 16:16

▼『シエナに恋して』リサ・マリー・ライス

▼『シエナに恋して』リサ・マリー・ライス(扶桑社ロマンス)
 数学者のフェイスは、親友ルーの兄であるアイスホッケーのスター選手ニックと一夜をともにする。が、翌朝彼からかけられたのは思いがけない言葉だった。傷心のフェイスだったが、突然上司であるケイン教授からイタリアのシエナで行われる学会にアシスタントとして呼ばれることになる。折しもシエナではパーリオと言われる地区同士での競馬の直前で、町はお祭り騒ぎだった。("Murphy's Law" by Lisa Marie Rice, 2014)

 何を軸にして読めばいいのかわからない作品でした。
 リサマリにしては珍しく、サスペンスというよりミステリー寄りのものだったんだけど、このミステリーが、はっきりいってつまらない(´・ω・`)。予想どおりに話が運び、「一番怪しくなさそうな人が犯人」というお約束の展開。ヒロインのフェイスが罪を着せられそうになるという話の運びは、お約束ではあるが盛り上がりのポイントになるはずなのに、どうもこのフェイスに感情移入ができないので、「どうでもいいや」みたいに思ってしまいます……。
 そうなんだよね、キャラもまたいまいちで──フェイスはなんだかぼーっとしているし(数学の天才という部分を表現したかったのかもしれない)、ヒーローのニックは脳筋的なボンクラで、(リサマリ作品ではおなじみな)肝心な時にヒロインのそばにいない。ニックのいとこで殺人事件の捜査をしているダンテは、警察官のくせにパーリオのことで頭がいっぱい。確かに被害者はいつ殺されてもおかしくないくらいクズ人間だったかもしれないが、殺人犯を逮捕することは小説としての肝ではないの? 「ちゃんと事件のこと考えられる奴はいないのか(゚Д゚)ゴルァ!!」と思ってしまいましたよ。
 ロマンスの部分もなんだかうやむやなまま終わる。フェイスと一夜を過ごした時、ニックは怪我で戦力外通知を受け、したたかに酔っていて、朝起きた時、妹の友人として何度も顔を合わせたことのあるフェイスに対して「誰?」みたいに言ってしまう──というかなり致命的な失態を演じてしまうんだけど、それをちゃんと話し合うこともなく、いつの間にかフェイスが許している設定になってて、「えっ、それでいいわけ(゚д゚)!?」としか思えなかった。傷ついてなかった、フェイス? それも忘れてしまったの!? このボンクラヒーローをそのままにしておいていいわけ!?
 結局、この作品でリサマリが書きたかったのは「パーリオ」のことだったんだな、と読み終わって思いました。ロマンスもミステリーも、すべてはパーリオを盛り上げる要素でしかない。でも私はロマンスを読むつもりだったから、パーリオの方が邪魔に思えてしまった。これさえなければ、もっとちゃんと捜査もするだろうに、ロマンスにだってもっと感情移入できただろうに、と感じてしまって。
 パーリオの部分に枚数を裂き過ぎてて、水増し感がありました(´・ω・`)。パーリオに興味のある人なら楽しいかもしれないけど。
 リサマリ、〈真夜中〉シリーズの初期のものは別にして、たとえば『眠れずにいる夜は』みたいな骨太なものはもう書かないのかしらね……。
(★★)

最終更新日 : 2018-05-17

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