2018 · 06 · 21 (Thu) 16:37 ✎
◆『見知らぬ恋人』ナンシー・ウォレン(ヴィレッジブックス)
都会の生活に疲れて、田舎に住むガートおばさんの家に身を寄せているネル。ある日、騒々しくバイクで走り回るならず者たちに腹を立てたおばさんが、一人のバイカーを転倒させてしまう。彼は目を覚ますと、人工呼吸をしていたネルのことを恋人だと思いこむ。彼は記憶を失っていたのだ。("A Fast Ride" by Nancy Warren, 2003)
・アンソロジー『キス・キス・キス サプライズパーティの夜に』
都会の生活に疲れて、田舎に住むガートおばさんの家に身を寄せているネル。ある日、騒々しくバイクで走り回るならず者たちに腹を立てたおばさんが、一人のバイカーを転倒させてしまう。彼は目を覚ますと、人工呼吸をしていたネルのことを恋人だと思いこむ。彼は記憶を失っていたのだ。("A Fast Ride" by Nancy Warren, 2003)
・アンソロジー『キス・キス・キス サプライズパーティの夜に』
人工呼吸をキスだと思いこむ、というのは、今の時代どうなんですかね? ヒロインのネルは、一応訓練を受けているという設定ですけど、私が数年前に救急講習を受けた時は人工呼吸用マウスピースをもらいました。それを持っていない時は、心肺蘇生だけしろ、と。感染症の二次被害をふせぐためなんですよねー。→心肺蘇生法
──というのは、野暮なツッコミです(´・ω・`)。昔はこういう展開も珍しくなかった。
記憶喪失になってしまった人をどうするか、というのも、割と物語を左右する。都合よく話を進めるために、都合のいい言い訳で真相を言わない、みたいなものも多いですが、この作品の場合は、ヒーロー(名前はウェス)がならず者で、怪我させられたと思い出したら何をされるかわからない、という恐れもあり、なんとなく思い込みを否定しない方向に行きます。展開に無理はないけど、彼の正体は割とバレバレ。そうなると、何が物語の中心になるのかわからなくなる。先が全部わかっちゃいますからね。
長編ならば、ハッピーエンドフラグが折られまくりの展開もできるかもしれないけど、短編としては、短期であろうと記憶喪失はやはり都合のいい設定としか読めなくてねえ。いや、記憶喪失は今は長編でも難しいですよ。前に誰のだか忘れたけどハーレで、思い出しては忘れる、みたいなのをくり返す症状が出てきた時があったけど、単なる「思い出す」だけではなく、そういう症状例を出してよりリアルなものにするしかないのかもなあ、と思いました。
と、いろいろ気になるところはあるんですが、雰囲気はいいのですよね。なんとなくね。もう少し長かったらな──という惜しい気持ちをこめて、このくらい。
(★★★)
──というのは、野暮なツッコミです(´・ω・`)。昔はこういう展開も珍しくなかった。
記憶喪失になってしまった人をどうするか、というのも、割と物語を左右する。都合よく話を進めるために、都合のいい言い訳で真相を言わない、みたいなものも多いですが、この作品の場合は、ヒーロー(名前はウェス)がならず者で、怪我させられたと思い出したら何をされるかわからない、という恐れもあり、なんとなく思い込みを否定しない方向に行きます。展開に無理はないけど、彼の正体は割とバレバレ。そうなると、何が物語の中心になるのかわからなくなる。先が全部わかっちゃいますからね。
長編ならば、ハッピーエンドフラグが折られまくりの展開もできるかもしれないけど、短編としては、短期であろうと記憶喪失はやはり都合のいい設定としか読めなくてねえ。いや、記憶喪失は今は長編でも難しいですよ。前に誰のだか忘れたけどハーレで、思い出しては忘れる、みたいなのをくり返す症状が出てきた時があったけど、単なる「思い出す」だけではなく、そういう症状例を出してよりリアルなものにするしかないのかもなあ、と思いました。
と、いろいろ気になるところはあるんですが、雰囲気はいいのですよね。なんとなくね。もう少し長かったらな──という惜しい気持ちをこめて、このくらい。
(★★★)
最終更新日 : 2018-06-21