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◆『億万長者とクリスマス』ルーシー・ゴードン

◆『億万長者とクリスマス』ルーシー・ゴードン(ハーレクイン)
 ワーカホリックのアレックスは、自分の会社を大きくすることに夢中。クリスマスだというのに、家族との休暇より取引先のパーティを選ぶくらいだ。だが、そのパーティは中止になり、アレックスは別居中の妻コリーヌと息子と娘が住む田舎の家へ向かう。("The Millionaire's Christmas Wish" by Lucy Gordon, 2003)
・アンソロジー『クリスマス・ストーリー2008 愛と絆の季節』



 新婚当時は幸せだったけど、夫は次第に仕事に夢中になり、家庭を顧みなくなる。失望した妻は子供たちと田舎の家へ移り、離婚のため仕事も始める。そして、たまたま予定がぽっかり空いたので、クリスマスを過ごすために夫が家族の元を訪れて──というお話。
 アレックスは確かに家にあまり帰ってこないけど、仕事しかしていないし、根が誠実なので子供たちへの贈り物なども欠かさない。彼には彼の理想の家庭があるらしい。自分はそこにいないということには気づいていないんだけど、「父親」としてはちゃんと存在している、という幻想めいた気持ちを抱いている。妻コリーヌは優しく家を守り、息子は男らしくスポーツをして、娘はかわいらしくおしとやかな女の子でいてほしい、みたいな「ぼくのかんがえたさいこうのかぞく」像が保たれている(はず)ことに満足している人なのです。実際は、妻は離婚するための具体的な準備をしているし、息子はスポーツよりも絵を描くことが好きで、娘は乗馬に夢中──という実態はまったく知らない。知ろうともしない。
 こういう幻想を拠り所に生きる人は、まあ男性に限りませんけど、今も昔もいるし、決していなくなることはない。そして、この幻想から抜けるのは難しい。どうしてそういう偽りの拠り所を作ったかというところから自分を客観的に見つめ直さないといけないからです。たいてい原因から目を背けるために作っているので、そこを認めるのはつらい作業なんだよねえ。
 アレックスにそれができたのは、「息子が本音で話してくれる」という状況が偶然にもできたからです。9歳の息子、とても繊細で優しく賢く、パパが大好きなので、子供なのに父親に忖度しちゃうのです(´・ω・`)。でも、彼はまだサンタクロースを信じている(ダンスィみたいな妹にバカにされるけど(´ω`;))。アレックスは偶然にもサンタクロースの格好をすることになり、息子の本音を聞き、自分がやってきたことを省みるのです。
 このサンタ、何度か作中に出てきては、息子やコリーヌと話をして、アレックスの気持ちの変化を促すんだけど、私、ちょっとだけ混乱しました。いえ、もちろんこのサンタはアレックスだとは思うんですが、「あれ、もしかして違う?」みたいに感じることもあって……。
 そういう話は全然ありだけど、この場合、果たして作者はこっちにどう読んでほしいのか、というのがわからなくなってしまった。サンタの姿でないと人の話をちゃんと聞けない男が、一年後にはそうじゃなくなっている、ということなんだよな。でも、作中のサンタに本物も混じっている、という展開でも面白いし、むしろその方が好きだけど、そういう伏線みたいなものはないから、そういう話じゃないんだよな(´・ω・`)──という勝手ながっかり感を持ってしまったという……。
 とてもいい話なんだけど、評価は私個人の読後感によるものであって、作品の出来とは違うと思っていただけるとありがたいです(´∀ `;)。
(★★★☆)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : コンテンポラリー ハーレクイン(文庫含む) ★★★☆ アンソロジー

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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