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●『魔法のキスは銀の瞳の伯爵と』アン・グレイシー

●『魔法のキスは銀の瞳の伯爵と』アン・グレイシー(集英社ベルベット文庫)
 突然兄が亡くなったことにより伯爵位を継いだカルは、軍人としての任務に戻るため、早急に継妹たちの世話をする女性が必要だった。反発ばかりする妹たちをなだめて言うことを聞かせ、社交界デビューの面倒も見てくれる女性だ。妹たちが慕っている女学校時代の教師エムと出会ったカルは、彼女こそその仕事にふさわしいと思い、何度も頼み込むが、彼女はかなりの金額を提示してもうなずいてはくれない。("Marry In Haste" by Anne Gracie, 2017)
・〈便宜結婚〉シリーズ第1作



 アン・グレイシーの新シリーズです。拍手でおすすめしていただきました。ありがとうございます!
 新シリーズでも、昔のシリーズの登場人物が出てきたりして──ついに私もネットの古本屋さんに手を出す時期が来たか。あと数冊が手に入らなくて、古いシリーズが読めてないのですよね>アン・グレイシー
 それはさておき、面白かったです。ただ、新シリーズの幕開けは設定などを説明したりしないといけなくて、はっきり言ってロマンスが始まるまでが長いです。序盤で初対面はするのですが、そこから先、なかなか会わないんですもの(´ω`;)。ヒーロー・カルは親友を殺した暗殺者を見つけて、そのあとは大陸に戻りたいと思ってるんだけど、言うこときかない継妹たちといがみあったり、頼りにならないおばにつきあったり、兄の隠し子が見つかったりで、全然軍の任務をこなせなくてイライラしている。ヒロインのエムに女性たちのことをまかせたいと思っても、彼女は女学校の次期校長を打診されているので、いくら頼み込んでもうんと言ってくれない。父に勘当され、自活の道を選んだ財産もない彼女にとって、一時的な仕事よりも安定した地位を選ぶのは当然のことなのです。
 ここまでで半分です。いや、特にロマンスがなくても面白かったんですけど、「どうすんの、これ? たいていならここら辺でそろそろHOTシーンだよね(´д`;)」と思ってたら、カル、いきなりピコーンと思い立つ。

「そんなに安定した生活を望んでいるのなら、僕と結婚すればいい!」

 と。これで何もかも解決! とばかりに。
 当然エムは、

「(゚Д゚)ハァ?」

 となるわけですが、安定した生活と自分の子供──家族を持てるかもしれないことを考えると選択してもいいかも、と思うのです。
 ここからロマンスは急加速しますが、エムの忙しい毎日を描くだけでも充分盛りだくさんだし、暗殺者の行方やいやみなおばさまとの攻防、エムが勘当された噂の再燃、そしてもちろん、便宜結婚した二人が次第に心を通わす過程もきっちり入って、読ませます。
 最初の方のカルは、「男」とか「伯爵」とか「家長」とか、そういう凝り固まった意識に支配されていて、全然融通のきかない人なんだけど、自分のため──というより、妹たちのために結婚してくれたエムを妻として尊重していくうちに、柔軟になっていく。前半と後半では人が違う、とも言えるかも(´ω`;)。
 ロマンスがなかなか始まらないことに不満を覚える人にはおすすめできませんが、私は気になりませんでしたし、楽しかったです。続きも楽しみー(´∀ ` )。
(★★★★)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : ヒストリカル 集英社文庫 ★★★★ シリーズ

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    プロフィール

    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
    ★★★★からがおすすめです。
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