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▽『犬神家の一族』横溝正史

▽『犬神家の一族』横溝正史(角川e文庫)
 昭和二×年、信州・那須市。東京から来た探偵・金田一耕助は、現地に着くなり野々宮珠世の危機を救う。彼は、製糸会社を経営する犬神家の当主・犬神佐兵衛の遺言状の開示によって起こるであろう骨肉の争いのため、犬神家の顧問弁護士事務所から呼ばれていた。妻を持たなかった佐兵衛は別々の愛人に産ませた三人の娘がおり、それぞれに息子があった。だが、莫大な遺産は、佐兵衛の恩人の孫・珠世に譲られると記され、孫息子たちは彼女と結婚しない限り相続できない。
・〈金田一耕助〉シリーズ(金田一耕助ファイル5)



 クリスマスイブ((´Д`;)エエ…)にドラマが放映されるというので、原作を読み返していました。ドラマは録画してあるけど、まだ見てない。
 市川崑監督の1976年の映画版は何度か見ていますが、原作を読み返すのは40年ぶりくらいかな(´∀ `;)。確か中学生の時に読んだと思うので。
 いやあ、面白かった。横溝正史の小説って何度も言ってるけど、なんでこんなに読みやすいんでしょう。話を全部知ってても面白いんですよ! おどろおどろしい雰囲気とケレン味たっぷりな語り口は言うまでもなく、佐清(スケキヨ)の例のゴムマスクや湖に逆さに刺さった死体など、見世物小屋的な悪趣味さもある。
 今回は、映画の脚本がほんとよくできてるな、と改めて思いました。映画も相当ドロドロな話で、感想で私、「佐兵衛が超DQNで」みたいなこと書きましたけれど、原作ではそれが消し飛ぶほどの松子(佐兵衛の長女)の存在感! 全部彼女が持っていった。ラストはまさにそんな感じで、この上なく外道で短絡的で、開き直りと自分勝手な正当性をただただ主張し続ける妙に堂々とした殺人犯だったわ。展開はほぼ同じなのに、どうしてこんなに印象が違うんだろう。
 まあ、とにかく佐兵衛が諸悪(と言うと語弊がありますが)の根源であることに間違いはないんだけど、彼に連なる家族がことごとく性格悪いというのはどういうことなの(´д`;)? 結局佐兵衛は愛する人以外、どうでもよかったのかもしれない。一番愛する人と結ばれないことにものすごく絶望して、虚しい気持ちしかなかったのかも。その分仕事に打ち込み、この上なく尊敬されていたけど、心の平穏や愛する人はどうしても手に入らなくて、その歪みが周囲の家族にも及んでいった、ということなんだろうか。それが最悪な形で表れたのが松子──となるとやはり、松子という殺人鬼を作ったのは、佐兵衛と言える。
 むしろそんな中でよく佐清はまともに育ったな、と今回かなり感心した。映画の感想に「まともな人が、結局珠世と佐清しかいなかった」と書きましたけど、珠世は引き取られた子供という立場で、犬神家の人間からするとよそ者だから、一線を画されていたというか、相手にされなかったから染まらなかったと言える(佐兵衛や亡くなった親からは愛されていたんだろうし)。そうか。そういうかわいそうな寂しい子供に佐清が手を差し伸べて、次第に二人の間にだけはまともで優しい感情が育っていった、ということなのかな。
 佐兵衛が──いや、犬神家の人々や、青沼静馬親子など関わった人たちすべてが手に入れたくても無理だった「愛」が、ようやく日陰から出てきたという話なのだな、と思いました。この二人の明るさを際立たせるために、周囲の人間を徹底的に歪めた、と言えるのかしらね。

 ところで、まったく関係ないのですけど、これを読んでいる最中、ちょっとストレスになるようなことがあり──胃がどよんとしていたんですけど、これを読んでいたらそれがよくなってきて……面白い物語というのは、やはりストレスを和らげてくれるな! と改めて思った次第です。こんなにドロドロしていても(´ω`;)。内容は重くても、読み口はあくまでも軽いから! すごいねー。

【12/27追記】
 24日にやったドラマ版を見ました。
 もう別にどう改変されてもそんなに文句はない方なのですが(ちなみにNHKのBSプレミアムでやった『獄門島』『悪魔が来りて笛を吹く』はどちらも大変面白かったです)、今回の珠世の出生に関する改変はちょっとダメだろ、と思いました。あそこが物語の肝じゃないすか。『獄門島』のあの例のセリフくらい、改変しても確かに話はなんとかできるけど、やっぱりあるとないとじゃ大違いみたいな!
 あと、話の筋を追うのが精一杯って感じで、役者の演技とかロケの風景とかをどうこう言える余裕もない慌ただしさがあったな。金田一耕助の印象自体も薄くなるほど。まあ、それだけコンパクトにまとめていたとも言えるんですが。
(★★★★☆)
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tag : ロマンス以外 角川文庫 ★★★★☆ シリーズ

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
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