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●『オペラ座の怪人』ガストン・ルルー

●『オペラ座の怪人』ガストン・ルルー(角川e文庫)
 19世紀末、パリ。オペラ座には謎の怪人がいる、という噂で持ちきりだったが、新しい支配人たちはそれを信じようとしない。折しも開かれた前支配人たちの退任記念コンサートで、若き歌姫クリスティーヌは素晴らしい歌声を披露する。彼女への恋を自覚した幼なじみのシャニー子爵ラウルは楽屋を訪ねるが、クリスティーヌは彼にそっけない態度を取る。ショックを受けたラウルが楽屋の前で待っていると、彼女ひとりきりの楽屋に謎の声が響いた。「クリスティーヌ、私を愛さなくてはならない!」("Le Fantôme de l'Opéra" by Gaston Leroux, 1909)

 あけましておめでとうございます
 今年もよろしくお願いいたします

 なんとか三が日に滑り込み……。やはり一日二日はいろいろ忙しいですよね。
 今年もマイペースに更新していきます。とはいえ、もう少しロマンス小説を読みたいな……。それが今年の目標ですね。



 さて、2019年一発目は『オペラ座の怪人』です。実は、来週これを原作にした宝塚のミュージカル『ファントム』を見に行く予定なのです。アンドリュー・ロイド・ウェバー版のとはまた別のだそうで。いろいろあるのね。『ファントム』を見たら、アンドリュー・ロイド・ウェバー版を下敷きにしたと言われる映画『オペラ座の怪人』を見ようかな。

 原作も舞台も映画も知らない私からすると、『オペラ座の怪人』のイメージは「若いオペラ歌手の才能を見抜き、彼女を愛するようになる怪人」というものです。結末はよく知らない。悲恋ものなのかしら……。怪人は醜い素顔を隠すために仮面をつけているそうだけど、ヒロインがそれを受け入れてハッピーエンドというのもありそう。
 ていうくらいの印象しかないわけです。だから基本的にロマンスというか、恋愛ものなのかなって。けど、ガストン・ルルーは『黄色い部屋の秘密』とかのミステリーで有名な人だし……なんなんだろうか。
 実際に読んでみると──ジャンルはやっぱりよくわからない。ルルーは元新聞記者だったらしく、構造としてはモキュメンタリー──ドキュメンタリーのふりをしたフィクションとして書かれています。オペラ座の広大な奈落や地下湖などにまつわる逸話や都市伝説が「本当にあった」ということにして書かれている。(一応ロマンスカテゴリには入れておいたけど)
 オペラ座の巨大地下にある湖のほとりに住み、オペラ座すみずみに張り巡らされている仕掛けや隠し通路など、すべての構造を知り尽くしている〈怪人〉──エリックが、新人オペラ歌手クリスティーヌに恋をして、つかの間「普通の幸福」を夢見た、というお話なのかな、と思いました。ロマンスとか恋愛風味は、少なくともクリスティーヌとエリックの間にはなく、エリックの片想いなんだけど、クリスティーヌからすると歌の才能を引き出してくれた恩人でもある。複雑な気持ちはあるけど、「それとこれは別(゚Д゚)!」という感じではあります。
 彼女がラウルにこれまでのいきさつを話すところなどは、なかなかの口が悪さが炸裂。「純粋で優しい」みたいなことが彼女の描写として書かれているんだけど、どちらかというとヤンキー風味でしたよ(´∀ ` ;)。ラウルと彼女はまだとても若く、苦労らしい苦労もせず、何かあるとすぐに動揺してしまう。十代のギャルと金持ちぼんぼんのカップルみたいでしたね。何も知らず、素直であるとは言える。
 だから、エリックがかわいそうに思えてくる。顔が生まれつき醜かったために親からも捨てられ、見世物小屋で生活していたり。けど、建築、奇術、声楽、作曲など、様々な才能に長けた人だった。醜く生まれなかったら、あるいはせめて親に捨てられなかったら、素晴らしい人生を送れたかもしれないのに──虐げられた過去が、彼を稀代の悪党にしてしまったわけです。
 そんな彼がクリスティーヌを好きになって、「普通の生活をしてみたい」と願うようになる。「お天道様の下を歩きたい」みたいなこと言うんだよ(´・ω・`)。これは悲しかった。だけど、結局クリスティーヌをさらうくらいしかできることもなく、彼女はラウルが好きだしで、何もかも泥沼に陥っていく。
 ラスト、どうしてこうなるのか、一度読んだだけではよくわからず、読み直したりしました。すると、エリックが望んでいたことは、恋愛以前のことだったんだなと思った。「誰かに優しくしてもらいたい」みたいなささやかなことでしかなかったんじゃないかと。母親にもしてもらったことのないキスをクリスティーヌにしてもらい、自分のために泣いている彼女の涙が顔にかかることで、それが本人にもわかったのだろう。誰かに本心から哀れまれることすら彼にはなかったのかもしれない。〈怪人〉──ファントム、つまり幻──いないものとして扱われることに慣れてしまった人だったんだからね。
 まあ、ぶっちゃけひきこもりのストーカーものなんですけど(´ω`;)、確かに悲恋ものではある。でもエリックのキャラが強烈すぎて、感情移入はしにくい。他のキャラにもね。昔の小説に感情移入しにくいのは、当然昔の人のメンタルと今の人間が違うからしょうがないんだけど、すごく読みやすくてリーダビリティはありました。後半で突然主役に躍り出る〈ペルシャ人〉とか構成に少し戸惑いますが、ちょっとスティーヴン・キングの『キャリー』を思い出して、「あ、こういう書き方も面白いな」と思ってしまったりした。
 原作とどう変わっているか、舞台を見るのが楽しみです(´∀ ` )。
(★★★★)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : ヒストリカル 角川文庫 ★★★★

あけましておめでとうございます

今年も、記事を楽しみにしてます🎵

予告は「オペラ座の怪人」だったんですねー。きっと「ピグマリオン」だ!と、予想していたんですが、外しました(^-^; ちょっと悔しい(笑)
オペラ座の怪人は、色々なバージョンを数種類の映画や劇場で、みましたが原作は読んで無かったです。原作モノ、確かに今の感覚と違うヒロインに良く戸惑うんですよ、パレアナとか、少公女とか、たまに「あれ?私が何か読み間違って解釈してるのかな?」等とどーしても現代の型に入れようと作業を頭の中でしてしまう… スムーズに読み進まないんです。
でも、ジェインオースティンも最初戸惑いましたが、あれは当時流行の小説のヒロインすぐ気絶する、プロポーズはとりあえず最初断る、などをちゃかしたパロディ化説を聞いて、嬉しかった記憶があります。昔の感覚でも、「変」を気づいたら放ってサクサク進まないんだろうなぁ。と、想像して。
宝塚バージョン、浮世離れ感が半端なさそうで、良さそうですね。楽しんで来てください🎵

オペラ座の怪人

>かなさま
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします(´∀ ` )。
『オペラ座の怪人』関連は今まで縁がなかったので、かえってまっさらな状態で見られそうです。宝塚はとにかくきらびやかで、現実逃避ができますね〜。でも、いろいろなものも意欲的に取り入れているので、私としては金田一耕助ものが見てみたい……あんな汚い主役ではだめですかね(´ω`;)。
古典ものを現代の感覚で読み直すのももっとやりたいのですけれど──とにかく時間ですね、時間。どううまく時間を使うかというのが、今年の課題です(´-ω-`)。

No title

白様、

原作の「オペラ座の怪人」ってそんな感じなんですね...。読んだことがなかったのでちょっとびっくりしました。
私はジェラルド・バトラー怪人役の映画しか知らなかったので、怪人がそんなに醜い人だとは知りませんでした...。

映画では仮面をかぶってても彼のカッコよさは隠せませんもの~!(笑)

No title

>misakiさま
コメントありがとうございます!
そうなんですよ。原作の怪人は、エレファントマンみたいな人なんです。映画なんかでは、あとから怪我したっていう設定もあるみたいですね。宝塚の『ファントム』では生まれつきって設定でしたが、トップスターさんの美貌を損ねるほどのメイクではなかったです(´ω`;)。
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    プロフィール

    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
    ★★★★からがおすすめです。
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